2014-10-13
3年越しに振り返る 『THE IDOLM@STER』 ‐‐ 第4話 「自分を変えるということ」
「自分を変えるということ」 そう銘打たれたこの挿話はそれこそその言葉通りに託された想い、云わば自分自身が変わることで変わっていく世界の見方と、また逆説的には “だからこそ変わらないもの” の大切さをもささやかに語ってくれていたように思えました。
それも 「私には譲れないものがある」 と頑なに現状を拒み、“今” に対するヘイトを撒き散らした一人の少女の物語。きっと、これはそんな “孤独であった” 年端も往かぬ少女のプロローグに他ならなかったのでしょう。
それこそ、傍から見れば彼女の行動だって大人気のないわがままなものだと、その背中に後ろ指を指しては目を細める人だって居たのかも知れません。
「歌う場所がない」 とそう嘆き残しては目の前にあるステージを睨み付け、こんなことをするためにアイドルになったんじゃない、なりたいんじゃないと訴え掛ける彼女の不満気な表情とその後姿。
それも 「私には歌うことしか出来ない」 と釘を刺しておいた彼女だからこそその言葉にも重みは増し、ああ、何か彼女はとてつもなく大きな苦しみを背負っているのだろうという “予感” を当時は感じることができたわけですが、今思えばその苦渋は余りに大きな “代償” に他ならなかったのだから千早の苦悩だって推して量るべきものではあったはずで。
影を落とすカットの多さ、孤独を強いるレイアウトの妙、残響する歌姫の嘆き。そういう一つ一つの積み重なりが如月千早という一人の少女像を築き上げていく辺り、改めてこの4話には胸を締め付けられてしまいましたし、だからこそああいった彼女の態度を一概に責めることを私の中の感情は決して善しとしてくれなかったのだと思います。
でもね、今だからこそ言える言葉って言うのも確かにこの場所にはあったりするんじゃないかって思うんです。仲間がいるということ。助け合える家族がいるということ。歌しかないなんてことは決してないし、何より “未来は今の延長線” に他ならないんだっていうこと。
それこそ、この挿話が語り掛けてくれたのもそうして視界を広げることの大切さに他ならなかったのでしょうし、むしろそうした気づきの集積こそが 『自分を変えるということ』 にだってきっと繋がっていくのだろうと私は思います。
どんな仕事であれ 「誰かのために」 と込められた想いの質量は変わらない、そう語る貴音の言葉そのままに、どんなステージであれ現場であれ、「夢のために」 と踏み出すその一歩の尊さに違いなんて一つだってありはしないのだということ。むしろそうしたことの何もかもを知っているのは他の誰でもない3年後の “あなた” 自身であった筈ですし、まただからこそ想いを巡らせるのは “今の千早” がこの日の自分を前にした時、一体どんな言葉をそこに掛けるのだろうなんていう、そんな風景の幻視であったりもして。
「今を大切に、悔いのないように」 プロデューサーの言葉を借りればそんな言葉さえ浮かんできてしまうこの挿話ではありますが、きっと今の彼女なら同じ言葉を自らに対し掛けてくれるんじゃないかって思えるのは、やはりここまで積み重ねてきた物語への信頼があるから。
ただただ笑えない現状、冷ややかな視線、希望のないステージ。でも、そうした経験もいつの日か振り返れば如月千早という物語を形作るものの1ページに成り得るのだと私たちは知っている。だから、頑張れ千早。負けるな、千早。そうして踏み出した道の先に、あなたが笑顔で歌える未来はきっとあるから、だから――。
そんな感傷につい浸ってしまえるような挿話になっているんだなぁと、改めて自分にとっての4話という存在の意味を噛み締めることの出来たのは今回視聴し直して得ることの出来た大きな発見であったように思います。それも劇場版を越えて振り返ったからこその、という意味合いはきっと大きいのでしょうけど、そういう物語の捉え方の変化があったのはやはり私の中で “彼女たち” があの出会いの日から決してその足を止めず駆け抜け、成長し続けていてくれたからなのかも知れません。
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