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香港民主化デモ 情報ツールが“抑止力”? 水面下では「サイバー戦」も

産経新聞 10月12日(日)20時49分配信

 【香港=河崎真澄】香港での民主派の大規模デモに乗じる形で、何者かによる「サイバー戦」が展開されている。香港紙、蘋果日報(電子版)は12日、国際的ハッカー集団「アノニマス」が同日、中国政府の複数のサイトにサイバー攻撃を開始したと報じた。

 アノニマスは攻撃理由に「香港市民への権力乱用」を挙げ、一部の中国政府サイトが一時的に閲覧できなくなったほか、4万件の個人情報やパスワードが流出したという。

 一方、デモ参加学生によると、アドミラリティ(金鐘)など路上占拠エリアで不特定多数を相手に、「デモを拡大しよう」などと呼びかけながら、携帯電話内の情報が盗み取られる恐れのある偽アプリのダウンロードを勧めるメッセージが多数届いているという。

 勧誘メッセージは香港の民主派を支援するIT(情報技術)グループ「Code4HK」の名をかたって送信されているが、同グループは関与を否定し、デモ参加者にダウンロードしないよう呼びかけている。

 中国本土では、「香港民主派デモ支援集会を北京で行おう」との呼びかけが短文投稿サイトのツイッターなどから拡散したが、12日付の香港紙によると11日は厳しい警備態勢が敷かれ、集会は行われなかった。

 中国共産党機関紙、人民日報(海外版)が11日、香港のデモを「動乱」と呼び始めたため、中国が武力鎮圧も辞さない姿勢を強めたとの見方が出ている。だが、民主派団体の幹部は、「25年前の天安門事件の時代にはなかったインターネットや携帯電話を武器に、さまざまな情報戦が繰り広げられている。人民解放軍や武装警察などに動きがあれば、ただちに香港にも情報が漏れる上、中国本土の民主派の行動にも影響を与える」と話し、情報ツールが“抑止力”にもなっているとの見方を示した。

最終更新:10月12日(日)20時49分

産経新聞

 

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