本。本を読まなきゃ、と思う。賢くなりたいし、賢い文が書けるようになりたい。
それで、何冊か買ってはみたものの、ほとんど途中で投げ出している。
あ、これ面白くない、と判断した脳みそは立ち入り禁止札を掲げて文字の進入を拒む。無理やり入れようとしてもぽんぽんぽんと弾き飛ばされていくから困る。
そもそも動機が不純なのがいけない。
中学生の時、文庫本を買いあさっていた時期があって、なぜかっていうと「文庫本読む私かっこいい」と思ってたから。やっぱり不純。
買ってたのは全部ホラー文庫。悪趣味。
ホラーっていっても幽霊が出てきてちょっと背筋がぞくぞくっとするような不思議な話じゃなくて(私は本当はそういう系のが読みたかった)グロテスクなやつ。
当時はそういうのはどこかで、現実にはない空想の世界だけのものだと思っていたからわりと平気に読めていたけど、凄惨な事件が現実にあることを知ってしまったからなのか、今はもう絶対に読めない。
とにかく中学生の私は文庫本を読んでいることをちょっと誇りに思っていて、ある日、本屋さんに行ったとき、
「カクカワホラー文庫ありますか?」とドヤ顔で聞いたことがある。
店員はしばらく考えてああ、と、
「カドカワホラー文庫のことですね」
って、すっごく馬鹿にしたような笑顔で言ってきて、思えば私が本を買わなくなったのはそれからだった。