日本サッカー協会の新会長
大仁邦弥氏は“何もしない人”
「自分には、リーダーシップはないかもしれないけど、辛抱するのは慣れている。元々DFだったので……」
自らをこう語る大仁(だいに)邦弥氏(67)が日本サッカー協会の新会長に決まった。
「なぜ彼が新会長? と協会関係者に聞くと、『何もしないからでしょ』という答えが返ってくるような人です(笑)。口が堅いのが取り柄で、人柄の良さでここまで上り詰めた人なんですよ」(ベテランサッカー記者A)
現役時代は慶応大学から三菱重工に進み、日本代表として44試合に出場しているという大仁氏。
「体力勝負の武骨なDFでした。三菱と言えば杉山隆一さんや横山謙三さんなど五輪で活躍した有名選手がいましたが、大仁さんは日本代表が五輪に出られなかった時代の選手ですから知名度も低い。引退後は指導者もしましたが、彼が監督をしていたときに名門の三菱重工サッカー部が2部落ちしていて……」(ベテランサッカー記者B)
そんな大仁氏だが、サッカー協会の仕事をするようになると持ち前の人の好さからなのか重用され、強化委員長、技術委員長などを歴任する。しかし、06年に副会長に登用されたときは、さすがに当の本人も本当に“ハト豆”な顔をしていたという。
「当時の会長だった川淵三郎さんが、自分の寝首を掻こうとした人物を外し、安全な大仁さんを起用したと言われていました。今回の会長昇格も、最高顧問となった川淵さんの意向が働いている、と一部では見られています。川淵さんは実は岡田(武史)さんを会長にしたくて、そう言われたら断れない岡田さんは中国のチームの監督に就任して逃げた、なんて話もあります(笑)」(ベテランサッカー記者C)
「不安はあるが、覚悟を決めて重責に取り組んでいく」と所信表明した大仁氏。注目の女子W杯招致に関しては「是非やりたい」と答えたが、2015年の開催地は決まっており、早くて19年か23年の招致。19年にはラグビーW杯があり、20年には五輪招致の可能性もあるため、調整が不可欠だとして、「いつ手を挙げるか考えたい」と、いかにも彼らしく慎重だった。
「先頭に立って歩くようには見えない人ですからね。大丈夫か? と言いたくなりますよ」(同前)