人間に出来ること --- 人間 vs 機械 Part I 進化と自然認識
Upcoming SlideShare
Loading in...5
×
 

人間に出来ること --- 人間 vs 機械 Part I 進化と自然認識

on

  • 227 views

10月7日 マルゼミ

10月7日 マルゼミ

Statistics

Views

Total Views
227
Views on SlideShare
227
Embed Views
0

Actions

Likes
3
Downloads
1
Comments
0

0 Embeds 0

No embeds

Accessibility

Categories

Upload Details

Uploaded via as Microsoft PowerPoint

Usage Rights

© All Rights Reserved

Report content

Flagged as inappropriate Flag as inappropriate
Flag as inappropriate

Select your reason for flagging this presentation as inappropriate.

Cancel
  • Full Name Full Name Comment goes here.
    Are you sure you want to
    Your message goes here
    Processing…
Post Comment
Edit your comment

人間に出来ること --- 人間 vs 機械 Part I 進化と自然認識 Presentation Transcript

  • 1. 人間にできること 人間 vs 機械 Part I 進化と自然認識 丸山不二夫
  • 2. 労働の現場では、機械やロボットに代替可能な肉体 的な労働と、技能に基づく熟練労働のいずれもが減 少する一方で、誰が行っても同じ効果が求められる、 定型的なルーティン・ワークが増大しています。これ らの没個性的な労働の一部あるいは全部が、いず れは、コンピュータによって代替されるかもしれない という不安は、情報化社会に生きる人間の意識を深 いところで規定していくでしょう。 丸山不二夫 2000
  • 3. 私は人間が有り余るほどの時間の中でゆっくりと暮 らすべきだと思います。人々のニーズを満たすため に誰しもが己を捨ててまで忙しく働かなければいけ ない、という考え方は間違っています。問題なのは、 人々がそういったことを間違いであると認識できて いないところにあるんです。また、人間は何もするこ とがなくなったら幸せじゃなくなってしまうと思ってい ることも問題です。 Larry Page 2014
  • 4. Agenda  生物と人間と機械  人間の感覚能力の拡大  言語能力の獲得と進化  機械の誕生と進化  数学的認識の誕生と発展  機械に出来ること  人間と機械との「共生」
  • 5. 生物と人間と機械 生物・人間・機械の同一性と差異の論点は、 多岐にわたる。ここでは、そのいくつかを取り 上げる。
  • 6. 生物の進化と人間の進歩  人間を含む生物と、機械との違いは明確であるよう に思う。人間と人間以外の生物とは、多くの共通点 を持っている。  生物と人間の違いについて、最初に確認すべきこ とは、生物の進化と人間の進歩は、別の原理に基 づくということである。  生物の進化は、自然が適者を選択する客観的な過 程であるのに対して、人間の進歩は、人間の目的 意識に基づく主体的な選択の結果として生まれる。
  • 7. 生物と人間の「知的能力」  生物と人間の違いを、感情・意思・知識といった 知的能力の有無で説明しようとすることもある。た だ、少なくない動物達は、感情・ 意思・ 知識を 持っているように見える。それらの有無で、動物と 人間を区別するのは難しい。  それらは、個体を維持するための食欲、種を維持 するための性欲、外部の環境に適応するための 記憶の利用等に起源を持つ。  全ての生物は、自然の中で生き抜くために、プリ ミティブな「知的能力」を持つといっていい。
  • 8. 人間の言語能力と自然認識能力  人間の知的能力の最大の特徴を、その言語能力 である。動物は、人間のように言語を操る能力を 持たないし、機械もまた、現状では言語を十分に は理解出来ていない。  人間の知的能力の発展として重要なものに、自 然科学と数学の発展がある。それは言語能力を 土台とした、人間の自然認識能力の拡大として捉 えることが出来る。  こうした問題意識は、「人間と機械」という主題か らは、狭いものに思われるかもしれないが、機械 の登場を可能にした母胎は、科学技術である。
  • 9. 機械の思考は可能か  現代の脳研究をドライブしている最も強い信念の 一つは、我々の思考の過程が、基本的には、生 化学的・物理的過程、いわば、機械的な過程に還 元出来るというものである。  それは、我々人間を、DNAでコードされたタンパ ク質で出来た機械とみなすことに等しい。  機械の思考は可能か? こうした問いに対する、 還元主義的な立場からの、最も単純な答えは、 「可能である。我々自身を見よ。」というものであ る。
  • 10. 機械の「進化」  機械の「進化」は、我々人間の目的意識と主体的 コミットメントの結果として行われてきた。  機械に対して、我々は創造主としてふるまう。 我々は我々自身に似せて、機械を作る。我々は、 我々の知能のすべてを機械に移そうとするだろう。  だから(しかしながら)、「機械の無能さ」と思われ るものは、正確に、我々自身の無能さを指し示し ている。
  • 11. 人間の感覚能力の拡大 感覚は、生物が外界を認識するために、進化を通じて 発達させてきた能力である。 人間は、生物学的な進化以外の方法で、感覚の拡張 を果たしてきた。こうした拡張は、主要には、20世紀 においてなされた。 長さ・重さ・位置・時間について、生物にビルトインされ た体性感覚をはるかに上回る精度の認識を、人間は 得ることが出来る。
  • 12. 感覚能力の拡大  顕微鏡や望遠鏡は、我々の視覚能力の拡大である。同様 に、光学的な原理に基づくものではないにしろ、電子顕微 鏡や電波望遠鏡も、我々の視覚の拡張と考えていい。レ ントゲンやCT, MRIも同様である。  ガスクロマトグラフィー・質量分析器・分光分析器も、嗅 覚・味覚に代わる、我々の対象認識の拡張手段である。 対象は限られているが、DNAシーケンサーは、我々の生 物学的基礎に対する、最も重要な認識手段である。  素粒子物理の分野での巨大な加速器も、我々の感覚能 力の拡張と考えることが出来る。
  • 13. CERN: We've Got the 'God Particle'
  • 14. 我々の自然認識
  • 15. 機械が 人間の感覚能力の拡大を可能とした  こうした人間の感覚能力の拡大は、機械によって支えられ ている。機械の助けなしでは、それは不可能であった。現 在の我々人間の自然認識の能力は、機械の能力と一体 のものである。  それでは、これらの機械は感覚を持つのだろうか? 観測 機械の振る舞いは、物理過程に帰着する(それは、生物 の感覚器官の働きも同様であるのだが)のだが、その結 果を人間が解釈することで、それは人間の感覚能力の拡 大となる。  網膜がそれ自体では視覚を持たないのと同じように、観 測機械もそれ自体では、感覚を持っている訳ではない。
  • 16. 人類の感覚器官  もう一つ重要なことは、宇宙の観測にしろ加速器 にしろ、ナショナルあるいはインターナショナルな プロジェクトとして遂行れていることだ。それは、 個人の感覚能力の拡大というよりは、集団的な人 間の感覚能力の拡大である。
  • 17. 言語能力の獲得と進化 言語能力の有無が、人間と他の生物を分つ 最大のものだということは既に、述べた。
  • 18. 言語能力の獲得  人間の知能を飛躍的に発展させたのは、30万年 前に獲得した言語能力だった。それは、個体間の コミュニケーションを豊かに発達させた。  一人しか話者がいない言語は、存在の意味が無い。 言語は、その言語を話す集団の存在を前提とし、 本質的に、社会的な性格を持っている。それは、人 間の社会性と、もっとも深いところで結びついてい る。  それはまた、目の前の具体的なモノの世界を抽象 的な概念の世界に移し替えることを可能にした。
  • 19. 文字・メディア・ネットワーク  「文字」の発明は、人間の言語能力の拡大である。 それは、記憶の時間的制限を超えた情報伝達を 可能にした。情報の蓄積の媒体として、多様な「メ ディア」が登場する。  情報伝達の空間的拡大は、書物の伝播の物理 的制限を超える情報通信技術「ネットワーク」の発 明によって可能となった。  今日では、「ネットワーク・メディア」が、共時的・通 時的コミュニケーション双方の中心的舞台になり つつある。
  • 20. 言語能力の獲得 30万年前
  • 21. 口承文学
  • 22. 文字
  • 23. 文字
  • 24. メディア
  • 25. 機械の誕生と進化 機械が一般に普及するのは、18世紀の産業革命以 後だが、機械の新たな進化が加速したのは、この数 十年のあいだである。コンピュータとネットワークは、 機械のあり方を一新した。
  • 26. 機械
  • 27. http://socserv.mcmaster.ca/econ/ugcm/3ll3/ure/PhilosophyManufactures.pdf 機械
  • 28. 機械
  • 29. コンピュータ
  • 30. コンピュータ
  • 31. インターネット
  • 32. 数学的認識の誕生と発展 プリミティブな数学的認識、量的な関係の認識 は、文字の誕生と、ほぼ同じ時期に生まれた。 数学的認識の飛躍は、「科学革命」を通じた 自然認識の深化の中で起きる。 数学は、我々にとって、自然認識の不可欠の 手段である。
  • 33. √2 = 1.41421296... バビロニアの数学 4000年前 a2+b2=c2 http://bit.ly/1vDqN5d YBC7289 Plimpton 322
  • 34. ピタゴラス BC582年 – BC496年 ユークリッド ギリシャの数学
  • 35. アルキメデス 紀元前287年 - 紀元前212年
  • 36. 科学革命 コペルニクス ガリレオ ケプラー
  • 37. ニュートン、ライプニッツの微積分の発見が、 新しい自然認識を可能にした。
  • 38. ガウス、リーマンらの 数学的達成が無けれ ば、アインシュタイン の理論は生まれなか った 自然認識の 「器官」 としての 数学
  • 39. 数学的・科学的認識の特質 累積的な知
  • 40. 累積的知  数学的・科学的認識には、大きな特徴がある。そ れは、いったん正しいものとして獲得された知識 が、時間とともに蓄積されて行くということだ。  たしかに科学においても、その「正しさ」は、つね に相対的で近似的なものである。科学的認識の 累積も、ある意味では、そうした制約の自覚の累 積である。  別の言葉で言えば、科学的認識は、先行する諸 成果を踏まえて、発展するということである。
  • 41. 累積的知の主体  こうした科学的認識・累積的知の現在の担い手は、 我々である。ただ、時間とともに累積される知の 主体は、個人ではなく、集団的で社会的なもので ある。それは、生物学的進化の主体が、個体では なく、種であるのと同じである。  こうしたタイプの知の累積とそれによる知の発展 を可能にすることが、我々人間の認識能力の重 要な特徴である。  集団的・社会的に担われた知の発展の契機は、 個人の多様性である。
  • 42. 機械に出来ること
  • 43. 機械に出来ること  自分を取り巻く環境を、対象として、必要に応じて 認識出来るか?  自分を取り巻く環境に、働きかけて、それを変化 させることができるか?  情報を記憶し、再利用出来るか?  自分と他者との間で、コミュニケーション出来る か?  自分自身を、再生産出来るか?
  • 44. 機械は、人間なしで自律出来るか?  機械は、人間の介在なしに、自分自身を、目的意 識をもって変化させられるか?  対象としての自然に関心を持ち、自然科学・数学 的認識の担い手になれるか?  歴史的で集団的な、自然科学や数学の累積的知 のモデルを構成出来るか?  累積的知の発展を保証する、多様性のある集団 を構成できるか?
  • 45.  遠くない将来に、機械が人間の能力を超える日が来ると いう「シンギュラリティ」の議論は、疑わしいと思う。  確かに、いくつかの分野では、機械の能力は人間の能力 を既にはるかに超えている。また、個人としての人間の能 力を、個体あるいは、ネットワーク総体としての機械の知 性が上回ることはあるかもしれない。ただ、それを可能と するのは、人間である。機械の能力は、人間の能力の一 つの現れに他ならない。  機械の誕生の地である、科学・技術の領域で、人間の優 位は動かないように見える。  遠い未来の予言は出来ないのだが、人間と機械の「共 生」関係は、長く続くと思う。
  • 46. 人間と機械との「共生」
  • 47. 人間と機械の「共生」  人間と機械との共生の時代は、既に始まっている。 人間の物理的能力の代替手段として登場した機 械は、いまや、経済活動の中核的役割を担い、人 間の共時的・通時的双方のコミュニケーションに とって不可欠の存在となり、日常生活のあらゆる 場面に浸透している。  現代の科学技術の発展は、機械の利用と分ちが たく結びついている。それはまた、機械の更なる 能力発展の条件を、やすみなく提供している。
  • 48.  確かに、機械とは相対的に接点の少ない、人間 の活動分野は存在する。ソーシャルな連携、思索、 クリーエーティブな創作、数学的探求、....。  一方で、労働の現場への機械の浸透は、確実に 人間の労働の機会を奪ってゆくだろう。  人間と機械の「共生」が、どのようなものになるか は、我々が考えるべき、重要な課題の一つである。
  • 49. 、次の要領で第四回マルレクを開催します  日時: 11月25日 19:00~  場所: MS 品川 オフィス  テーマ: 「エンタープライズと機械学習技術 --- Big DataとDeep Learning 」  定員: 100名  申込: 11月18日 12:00〜  登壇者:  丸山不二夫
  • 50. NTTドコモなどが機械翻訳事業の 新会社設立
  • 51. 丸山→栄藤  自然言語の理解は、最も重要な技術領域の一つ。 検索・広告で出遅れた日本が、世界を狙うなら、 ここに注力するのはアリだと思う。 栄藤さん、が んばって。僕は、Old Cartesian だけど、New Cartesian になろうと思っています。  「「インターネット主権」論と「ほんやくコンニャク」 待望論」http://on.fb.me/1vrTdRN  21世紀後半は、アジアの時代になると思う。余裕 があったら、インドの言葉もとりあげてほしいな。
  • 52.  10年前、発話理解何て出来ないと思っていまし た。初期視覚の深層学習モデルもここまで来ると は想像できませんでした。  アクセルを踏むタイミングが少し早すぎたのでは ないかとの心配はありますが、2020年にあるべ き姿を逆マッピングすると今、予測できない未来 に向けてアクセルをベタ踏みするしかない。  翻訳は半構造データをうまく抽象化して他の半構 造データに文脈依存で統計的に写像する作業だ と考えると、文書整形、意図理解など応用範囲は 広いと思っています。 栄藤丸山