GoogleがGDN上のデータ収集制限を開始?理由はプライバシーへの配慮か、それともAtlasか。


Googleがアドテクパートナー企業に対し、Googleディスプレイネットワーク(GDN)上の広告キャンペーンに関するデータ収集を制限する動きを見せています。

Google Display Network

先月末にFacebookが広告プラットフォーム「Atlas」の再リリースを発表しましたが、その直後のこのタイミングで、GoogleがDMP企業に対し、Googleディスプレイネットワーク上で広告を入札する場合(=DSPとして機能する場合)以外は、ピクセル使用を制限する可能性を示唆しているようです。

マーケターはデジタル広告に埋め込まれたピクセルを利用することで、ターゲティングおよびフリークエンシー管理が可能となります。多くのマーケターが「複数のDSP」と「1つのDMP」を使っている中、今回のデータ収集ポリシーの変更によって、今後の広告解析および最適化に影響が出始めるのではという懸念が広がっています。このGoogleのポリシー変更によって、例えばGoogle・AOL・Yahooといったネットワークを横断した広告キャンペーンのパフォーマンスを計測することが困難になる可能性が出てきました。

DMP企業KruxのCSO(Chief Solutions Officer)であるMike Moreau氏は「Googleディスプレイネットワークだけであればそこまで影響はありませんが、このポリシーがDoubleClick Ad Exchange(AdX)にまで適用されれば、とても大きな影響が出るでしょう。」とコメントしています。

また、リターゲティングサービスを提供するAdRollのAdam Berke氏(CMO)は「Googleは(データ企業がグレーゾーンでユーザー情報を集める際に起こりうる)データ漏洩への対策を取ろうとしています。FacebookがAtlasのリローンチを発表する前から、Googleはこれらの話し合いの準備を進めていました。」とコメントしています。

Googleディスプレイネットワークのポリシー変更は、まだ行われていません。

真っ向勝負が始まったGoogleとFacebook

先月半ば、アメリカのインタビュー番組(Charlie Rose)にて、AppleのTim Cook氏がAppleのセキュリティについて質問された際に「個人のメールを”読んだり”、ウェブ閲覧履歴を使ってプロフィールを作成し、広告主に提供する。そうやってプライバシー情報をマネタイズしている企業があるが、Appleは違う。」と、あからさまにGoogleのプライバシー管理を批判するコメントをしたことが話題になっていました。

GoogleやFacebookといった「広告が収益の柱である企業」にとって今後の大きな課題は、どのようにプライバシーを扱い、ユーザーにとって価値のある広告を届ける仕組みを構築し、広告主に提供出来るかです。そういった意味で、今回のGoogleによるサードパーティーの情報収集制限の動きは、Facebookがアドバンテージを持つ「より正確なクロスデバイスによる人ベースのマーケティング」への対抗策の一つと見て間違いないでしょう。

 

参考:
Google’s Crack Down on Marketing Data Worries Advertisers | Adweek

Google has new data restrictions, should third party measurement firms be worried? | Marketing Dive
Requirements for third-party ad serving – Advertising Policies Help
Eric Schmidt vs Tim Cook on data collection and privacy


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国内企業のウェブマーケティングマネージャーを経験後、インターネット広告を管理し最適化を行う外資系ITツールベンダーにて英語での「テクニカルライティング」と「日本語ローカライズ」を担当し、現在はその語学力(TOEIC960)とライティングスキルを活かし、フリーライターとしてデンマークと日本を拠点に活動中。専門分野はITと北欧デンマーク文化。