2014年10月10日

名種牡馬プレイバック - トサミドリ

「名種牡馬プレイバック」シリーズ第十二弾はトサミドリ。名種牡馬*プリメロの最良後継で、父と同じくリーディングサイアーこそなれなかったものの、自身が勝てなかったダービーを制したコマツヒカリ、天皇賞・有馬記念を勝った名牝ガーネットなどを出して大成功を収めました。ただ、種牡馬の父としてはあまり結果を残せず、トサミドリの孫に当たるピンクラブリー(1980)の廃用をもって現役種牡馬がいなくなり、60年ほど続いた父系は1990年代前半に完全に絶滅しました。
<トサミドリ系>  プリメロ系 (1992年絶滅)

Blandford (IRE) 1919
 *プリメロ Primero (GB) 1931
  トサミドリ 1946 31戦21勝
    ・皐月賞 ・菊花賞 ・東京杯 ・セントライト記念
   キタノオー 1953 29戦16勝
    ・菊花賞 ・天皇賞(春) ・朝日杯3歳S ・NHK杯 ・スプリングS
   トサモアー 1953 22戦14勝
    ・阪神3歳S
   キタノヒカリ 1954 12戦3勝
    ・朝日杯3歳S
   エドヒメ 1955 41戦7勝
    ・目黒記念(秋)
   ガーネット 1955 38戦14勝
    ・有馬記念 ・天皇賞(秋)
   トサオー 1955 37戦14勝
    ・天皇賞(春) ・金杯(東) ・クモハタ記念
   メイジミドリ 1955 21戦5勝
    ・阪神3歳S ・京都記念(秋)
   コマツヒカリ 1956 35戦6勝
     ・ダービー ・東京盃
    メイセイヒカリ 1972 28戦4勝
     ・京都4歳特別
   キタノオーザ 1957 41戦9勝
    ・菊花賞 ・セントライト記念
   ゴウユウ 1957 28戦17勝
    ・東京記念
   ホマレボシ 1957 27戦12勝
    ・有馬記念 ・安田記念 ・日本経済賞 ・ダイヤモンドS ・カブトヤマ記念
   マツカゼオー 1957 21戦7勝
     ・朝日杯3歳S
    マルサンファイヤ 1970 41戦16勝
     ・道営記念(札幌) ・北海優駿(岩見沢) ・東京王冠賞(大井)
   シンオンワード 1958 23戦3勝
    (2着) ・開設記念(川崎)
   ヒロキミ 1959 19戦4勝
    ・菊花賞
   モトイチ 1959 44戦6勝
    ・京都記念(春) ・阪神大賞典
   オリオンホース 1960 60戦19勝
     ・東京大賞典(大井) ・報知オールスターC(川崎)(2回)
    ホウユウヒダカ 1973 28戦7勝
     ・ダイオライト記念(船橋) ・ゴールドC(浦和)
   イサミリュウ 1961 35戦7勝
    ・アルゼンチンJCC
   トキノパレード 1961 16戦4勝
    ・弥生賞 ・京成杯
   ショウグン 1963 10戦4勝
    ・スプリングS
   ヒシヤクシン 1963 53戦11勝
    日本経済賞 ・七夕賞
   アシヤフジ 1964 31戦6勝
     ・東京大賞典(大井) ・開設記念(川崎)
    ピンクエイト 1974 66戦14勝
     ・道営記念(札幌) ・JRA理事長賞(札幌)
    ピンクラブリー 1980 70戦13勝
     (2着) ・金杯((札幌) (3着) ・農林水産大臣賞典(岩見沢)
    エンゼルトーン 1984 75戦17勝
     ・みちのく大賞典(盛岡) ・プリメロ系最後のサラ系競走馬

トサミドリは皐月賞・菊花賞の勝ち馬で、半兄にセントライト、クリヒカリなどがおり、血統的に当時の日本で考えられる最高の配合とも言える。実績的にはその辺にいる一流馬というレベルだったが、勝ったレースの半数近くでレコードを記録した快速馬であると同時に、最高で74キロという酷量で勝利したタフネスホースでもあり、実績以上のインパクトを残した競走馬であった。種牡馬としてもダービー馬コマツヒカリ、菊花賞・天皇賞のキタノオー、有馬記念・天皇賞を制した名牝ガーネットなど幾多の名馬を送り出しており、競走実績・繁殖実績のあわせ技で1984年に顕彰馬に選ばれている。

種牡馬となった産駒は数多いが、その中で目立った成績をあげたものは少なく、大半が地方重賞の勝ち馬を出すのがやっとというようなレベルで、中央重賞はダービー馬コマツヒカリ産駒のメイセイヒカリが京都4歳特別を勝ったのが唯一の勝利であるようだ。また、キタノオーはトサミドリの代表産駒と呼べる存在だったが、祖母が血統不詳の*バウアーストックであり、サラ系の烙印からなかなか種牡馬入りすることができず、結局5歳時に病気のためこの世を去った。その全弟であるキタノオーザも同じで、同馬は菊花賞を勝ったにもかかわらず晩年は地方に流れ、そのまま消息不明となった。

サラブレッドとして辛うじて父系をつないだのは朝日杯3歳Sの勝ち馬マツカゼオーと、東京大賞典の勝ち馬アシヤフジのみ。アシヤフジ産駒のピンクラブリーは道営のオープンクラスでそこそこ走った馬というレベルで、全姉に道営記念の勝ち馬ピンクエイトがいる血統もあってプリメロ系最後の種牡馬となったが、ただでさえ実績不足の上にサラ系とあっては自牧場以外から牝馬が集まるわけもなく、わずか3頭の産駒を残して廃用となった。しかもそのうちの2頭はアラブであり、サラブレッドを母に持つ唯一の産駒はデビューに至らず、最後のサラ系競走馬となることすらできなかった。

トサミドリ自身はリーディングサイアーにはなれなかったが、クモハタと違って戦った相手は*ライジングフレームや*ヒンドスタンといった輸入種牡馬であり、産駒の総数もそれほど多くなかった時代に打ち立てた通算1135勝の内国産種牡馬による勝利数がフジキセキまで破られなかったという事実からしても、同馬が史上最高の内国産種牡馬の1頭であることは間違いないだろう。母系にトサミドリの血を含む競走馬は軽く1万頭を超え、完全に日本の牝系に根付いた存在となっている。ただ、その後継種牡馬たちは母系でもあまり残っておらず、シンオンワード(メジロモンスニーの母父)やショウグン(ヒガシマジョルカの母父)らがわずかに見られる程度だろうか。

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この記事へのコメント

1. Posted by にのみや 2014年10月10日 21:38
1994年あたりまではまだ母父トサミドリの馬が見られたので、ギリギリ間に合いました。
ダイナコスモス×トサミドリのフォスターホープがダートで活躍していた印象があります。

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