私を忘れないで
2014.10.6 主人公の名前をヤヨイ→クレア
弥生→ユカリ
にしました。
ヤヨイっていうよりはユカリのほうが名前多いのと、今後の話のために変更しました
ご迷惑おかけします
.....もう朝、なのね
昨日は記憶が暴走してしまっていた
最初に記憶が戻ったときは陽のことは思い出していなかった
対策を練るため記憶を辿っていたのだが...まさかここまで取り乱すなんて、ね
でも.....
『どうしたのユカリ?抱きついてきたりして...甘えんぼだね?』
思い出せていなかったら、陽と過ごした時間を忘れてしまうことになる...
それだけは絶対に駄目..........思い出せて良かった
でも陽を思い出す度に魔力が暴走するんじゃこれからの学園生活に支障が出る
これからは感情の暴走を抑えなくては....
昨夜思い出したときには掴んでいた机のふちを握り潰してしまっていた
私の魔法は威力が強いため、少し力を入れただけで物を壊してしまう
私は殆ど全ての魔法の素質を持っているため暴走したときには被害が大きくなってしまう
関係ない人を巻き込むようではあの女と同じだ...
私は絶対にあの女と同じにはならない
「....さて、と。」
もう後1ヶ月で学園生活が始まる
色々準備をしなくては.....
「お嬢様、お目覚めでしょうか?」
「ええ、おはようソフィア。今日はとてもいい天気ね。」
「はい!とてもいい天気です!」
この娘はソフィア、幼い頃から私に仕えてくれているメイドだ
綺麗な栗色の髪に青い目でとても可愛らしい容姿をしている
「こんないい天気の日は何処かへ出掛けなくては勿体無いわ。あなた、セズと一緒に街にでも出掛けてきたら?」
「え!?////そ、そんな..セズと..ですか!?」
「ええ、私が許可するわ。行ってきなさいよ。」
「っで、でも....///」
「い・き・な・さ・い」
「~~っ!!クレア様、ありがとうございます!////」
バタバタ
彼女にはセズという庭師の婚約者がいる
二人とも同じ職場で働くうちに意気投合し、付き合うようになったんだとか
もう来年には結婚式を挙げる予定だ
折角なのだから休日ぐらい羽目をはずしてほしい
「ふふふ....私も出掛けようかしら。」
軽い服装に着替えて私は屋敷を出た
....と、その途中
「姉上、何処へ行かれるのですか?」
私に声をかけたのは弟のグレイだ
「街に買い物をしにね。入学してしまったら中々休日がとれないでしょうから。」
「...そうですか。一人で大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫。夕方には戻るから。」
「....気をつけて。」
「ありがとう。」
ちなみに、彼も攻略対象の内の一人だ
グレイ・クレマチス
深い紫色の髪に金色の瞳の何とも神秘的な容姿をしている
無口な性格で、ヒロインの前では素直な少年になる
いわゆるツンデレだ
年は私の2つ下である
昔はよく私の後をついて回っていたのに、今じゃ素っ気なくなってしまって....
ま、もうグレイも13歳だしそういう年頃なのかもね
口調も大人びていて身長も162cm
学園に入る頃にはいい青年に育っているんでしょう....
あの女も、グレイに目をつけるのでしょうね
他の攻略対象はどうでもいいけど....
やっぱり弟のグレイにはちゃんと誠実な女の子と幸せになってほしい
そのためにも、アイツを学園で自由にはさせない。
「すいません、この金木犀をください。」
「おや、クレア様珍しいですね?...しかもそんなにいっぱい買って、もう充分でしょうに...」
「...別にいいでしょ、頂戴!!」
「ハイハイ、クレア様がおねだりするなんて滅多にないですからねぇ。どうぞどうぞ好きなだけ持っていってください。」
「ありがとう!!」
バタバタ
「珍しいねぇ、クレア様があんなに花を買うなんて...」
「.....クレアというのか?さっきのご令嬢は...」
「ああそうさね、クレマチス公爵のご令嬢だよ。あんた、知らないのかい?」
「つい最近来たばかりでな...失礼する。」
*****
どうぞ 思い出を この胸に 二人は別れを告げるけれど 忘れないでいてね
過ぎし日の愛を いつか貴方の胸によみがえる
この世の愛は儚く 夢か幻か 色褪せぬうちに心深く
夏の日々遠くに去り 今はもうゆきてかえらず
ひとり過ごす夜の寂しさよ 貴方の面影に心乱れ
呼べどももうかえらぬ過ぎし愛の刻 忘れないでいて 二人の日々
夏はもう帰らず 夢の日々も去る どうぞ忘れないでいて
二人の 愛
...懐かしいなぁ
声楽部にいた頃よく歌っていたオペラ座の怪人の"think of me"
英語はまだ歌えなかったから日本語で歌ってたっけ...
『やっぱりユカリの声はとても綺麗だね!ね、もう一回歌ってよ!』
....私の昔の記憶には陽がいる
......何をするにも、その度に陽を思い出してしまう
「...さっきの歌は君が歌っていたの?」
「....貴方誰よ?」
「あぁ、ごめん。僕はオリヴィエ・オランティアクス、オリヴィエって呼んで」
「...オリヴィエ、貴方は一体何しに来たの?」
「綺麗な声が聞こえたから。ね、もう一回歌ってよ!」
『ね、ユカリもう一回歌ってよ!』
っ....何で同じことを....
いえ、ただの偶然よ。
さっき思い出してたから敏感になっているだけ.....
「....何で貴方のために歌わなくちゃいけないのよ。」
「え~?さっきの歌ってよ、もう一回!」
「断るわ。じゃあねオリヴィエ、もう会うこともないでしょう。」
「いいや、もう一度会うよ。....またねクレア。」
....私、名前教えてな...
「っ..待って!!」
もうそこにオリヴィエは居なかった
残ったのは金木犀の薫りと.....
"またすぐに会えるよ"
風にのって聞こえた、オリヴィエの一言だけだった
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