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【主張】
参院の選挙制度 自民は改革先送り政党か
「一票の格差」是正に向けた参院の選挙制度改革が迷走し、目標とされる年内とりまとめが困難視されている。
最大の要因は、改革案をめぐって内部対立を続ける自民党にある。
この問題は参院側の役員人事をめぐる対立にも発展し、与野党の参院選挙制度協議会の座長を務めてきた脇雅史氏は、改革に慎重と目される溝手顕正参院議員会長に幹事長職を更迭された。
両氏の対立が議論を停滞させてきたといっても過言ではない。与党として、合意への努力さえ見せない無責任な姿をさらし続けるのだろうか。
自民党として二院制のあり方をどう考えるかは、総裁である安倍晋三首相の責任も大きい。参院の協議会での合意形成に向け、強い指導力を発揮すべきである。
再来年の参院選に抜本的な格差是正策を含む制度改正を間に合わせるには、来年の通常国会で法改正を行う必要がある。
一票の格差が最大で5倍となった平成22年の参院選を最高裁は「違憲状態」と判断し、制度の抜本的見直しを求めた。「4増4減」の定数是正を行った後の25年の参院選でも、最大4・77倍の格差が生じた。
昨年9月に始まった参院の選挙制度協議会で脇氏は座長を務め、今年4月、選挙区は都道府県ごととなっている現行制度を改め、22府県を11選挙区に合区、再編する座長案を提示した。これにより格差は2倍以内に縮小する。