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実父の死後に父子関係認定 大阪家裁 30年間無戸籍解消へ

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実父の死後に父子関係認定 大阪家裁 30年間無戸籍解消へ

 母親が前夫と別居中に別の男性との間に生まれ、30年間戸籍がない大阪府の女性(30)が、死亡した実父の死後認知を求めた訴訟の判決が10日、大阪家裁であった。久保井恵子裁判官は母親と実父の知人の証言をもとに女性の訴えを認めた。判決は確定する見通しで、女性の今後の手続きで無戸籍は解消される。

 死後認知は、父親の死亡後3年以内に父子関係の成立を求めて調停や訴訟を提起できる制度。女性の代理人弁護士によると、無戸籍解消を目的に死後認知を求めたケースは初めて。

 判決によると、女性の母親は昭和51年、前夫の暴力から逃れようと東北地方から大阪府内に転居。前夫と離婚できずにいた59年、勤め先の飲食店で知り合った男性との間に女性を出産した。「婚姻中に妊娠したときは夫の子と推定する」という民法772条の規定(嫡出推定)では戸籍上の父親が前夫になるため、母親は出生届を出さなかった。

 実父がすでに死亡していることからDNA型鑑定ができず、女性側は飲食店の経営者の証言をもとに死後認知を請求。久保井裁判官は「生物学的父子関係を推認できる」とした。

 女性は判決後に会見し、「無戸籍で高校進学などをあきらめてきた。人生の選択肢を奪われたことが悔しい」と話した。

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