■ U-19日本代表の初戦来年の5月末から6月にかけてニュージーランドで開催されるU-20W杯の出場権をかけたU-19アジア選手権が開幕。MF柏木、MF梅崎、DF槙野らが主力となった2007年のカナダ大会以来となるU-20W杯の本大会出場を目指す鈴木政一監督(元ジュビロ磐田)率いるU-19日本代表がグループリーグの初戦でU-19中国代表と対戦した。
日本は「4-2-2-2」。GK中村航(柏)。DF広瀬(水戸)、中谷(柏)、三浦弦(清水)、坂井大(大分U-18)。MF川辺(広島)、松本昌(大分)、関根貴(浦和)、金子翔(清水)。FW南野(C大阪)、越智(産業能率大)。2013年のJリーグのベストヤングプレーヤー賞を受賞したC大阪のFW南野がチームの顔であり、絶対的な攻撃の中心となる。
■ 2対1で中国が勝利して白星発進試合は開始して1分も経っていない時間帯で中国の11番のMF唐がペナルティエリア内で広島のMF川辺に倒されてPKを獲得。これを7番のMF韋が確実に決めて前半2分に中国がPKで先制する。出鼻をくじかれた日本だったが、前半16分に左サイドでボールを受けたエースのFW南野が個人技から豪快に左足で決めてすぐさま1対1の同点に追いつく。
その後も基本的には日本ペースで進んで、前半終了間際には清水のMF金子翔と広島のMF川辺に決定機が訪れるが決められず。後半も同様の流れでほとんど中国は形を作れなかったが、後半32分にゴールやや左寄りの絶好の位置で中国がFKを獲得すると、またしても7番のMF韋に決められて今度はFKから中国が勝ち越しに成功する。
ビハインドの日本は何度か惜しいシーンを作ったが、中国のキーパーのファインセーブもあって同点ゴールを奪うことができない。結局、2対1で中国が勝利して白星発進となった。U-19日本代表は2戦目はベトナム、3戦目は韓国と対戦するが、ラストに韓国戦を残していることを考えると4大会ぶりのU-20W杯出場に早くも黄色信号が灯ったと言える。
■ 後半に動きが落ちたU-19日本代表日本は大事な初戦を落としてしまった。いきなり開始30秒あたりで不用意なファールからPKを与えて先制されたことが計算外だった。1点ビハインドになった後はかなり力を入れて同点ゴールを狙いに行ったが、前半16分にFW南野のファインゴールで1対1の同点に追いついた後、いくつかあった決定機を生かせなかったことが痛かった。
この世代の中国代表の選手はJ2のカターレ富山でプレーするCBのDFコ・ジュンイなど国外でプレーする選手が大半だという。国を挙げて強化に取り組んでいるという話であるが、飛び抜けた選手がいるわけでもなくて、流れの中でチャンスを作られるシーンもほとんどなかった。力的には日本の方が1枚上だっただけに悔やまれる試合となった。
日本はいきなり先制ゴールを許したため早く取り返そうとペースアップした。ペースアップした判断は間違いではなかったと思うが、オーバーペースになってしまった点は否めない。前半はFW南野以外にも右サイドのMF関根貴のドリブルが効果的で、日本は右サイドで優位性を保ったが、後半になるとMF関根貴は完全に消えてしまった。
C大阪のFW南野であったり、大分のMF松本昌であったり、Jリーグのリーグ戦で出場機会を得ている選手は問題ないが、多くの選手がプロ1年目となるため、所属クラブで出場機会を得るのは難しくて、体力的な問題を抱えていた選手が多かった。34℃という現地の暑さも多分に影響していると思うが、後半に入って動きが落ちた選手が多かった。
もちろん、これだけの悪条件なので、どこかでスタミナが切れてしまうのは仕方がない。力を入れてチーム全体で点を獲りに行って1対1の同点に追いつくことができたところまでは良かったが、その後、2点目を奪うチャンスがありながら逆転まで持っていけなかったことが大きく響いた。非常に残念な試合になってしまった。
■ 単調な攻撃に終始したU-19日本代表1995生まれと1996年生まれの選手が中心となるU-19世代はタレント力では「普通レベル」と言える。C大阪のFW南野が飛び抜けた選手と言えるが、他にも大分のMF松本昌、広島のMF川辺、浦和のMF関根貴などがいて、各ポジションにまずまずのタレントを有している。この点がこのチームの強みであり、穴となるようなポジションは見当たらない。
GKやCBが穴になることが多かった過去の世代と比べるとその部分での心配は少ないが、攻撃のバリエーションは少なかった。前半はFW南野やMF関根貴のドリブル突破が効果的で、左サイドハーフのMF金子翔の個人技も目立ったが、結局のところ、チャンスになりそうなのは個人の頑張りによる突破だけだった。
もちろん、FW南野やMF関根のドリブルというのは十二分に通用していたので、個の力を最大限に押し出すことは悪くはないが、前半から何度もドリブルで仕掛けようとすると疲れも出てくるし、また、前半の終盤あたりから中国の選手も日本の攻撃に慣れてきた。二の手や三の手は無かったと言わざる得ない。
途中出場したG大阪のMF井手口と京都U-18のMF奥川の2人のプレーはまずまず良かったので、「選手交代が機能しなかった。」というわけではないが、ボランチのMF川辺を前半だけで下げた選手交代は疑問である。もちろん、怪我やコンディションの問題であれば仕方がないが、、MF川辺がいなくなった後半は効果的にサイドを使えなくなった。
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