シリア渡航計画:「日本での地位、価値ない」…周囲に動機

毎日新聞 2014年10月10日 07時20分(最終更新 10月10日 11時19分)

北海道大生のイスラム国参加を巡る相関図
北海道大生のイスラム国参加を巡る相関図

 イスラム過激派組織「イスラム国」の戦闘員になるため、北海道大学の男子学生(26)=休学中=がシリアへの渡航を計画した事件で、学生が「日本での社会的な地位などに価値を感じられなくなり、シリアに行きたいと思った」などと周囲に動機を説明していたことがわかった。警視庁公安部の事情聴取にも「就職活動に失敗した」と話しており、公安部は学生が社会で孤立感を深めていたとみて調べている。

 学生は今年8月、千葉県の男性(23)と一緒にシリアへの渡航を計画。フリージャーナリストの常岡浩介さん(45)が同行取材する予定だったが、知人の反対などで断念した。常岡さんによると、学生は東京・秋葉原の古書店でシリアを勤務地とする求人広告を見たのが渡航を考えたきっかけだったと説明した。学生は「戦場など特異なものに興味がある。向こうに行けば違う発見があるかもしれない」と話し、シリアに居場所を求めるような発言をしたという。イスラム国に強く共鳴したわけではなく「自分が参画したことで何らかの政体(統治形態)ができ、それによって救われる命があれば結果オーライ。それくらいの気持ち」とも語ったという。「現地で生活基盤ができれば現地で生きていくが、日本に戻ってくることもあるかもしれない」とも話したという。【岸達也】

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