アジア

インフラ開発がしっちゃかめっちゃかに、
バングラデシュでひんしゅくを買う中国企業破格の安値で受注して途中で“降参”

2014.10.07(火)  姫田 小夏

 業界の常識を逸脱した低価格での落札、その結果として起こる資金ショートと工期の延期に、今では異議を唱える声の方が多い。バングラデシュの建設業者への取材の席では「中国流のやり方」に批判が噴出した。

 「土壇場になって『この金額ではできない』とバングラデシュ政府に泣きついて、資金不足を補おうとしている」

 「彼らは『完工させること』を目的にはしていない。さらにそこから条件を引き出そうとしているのだ」

 「完工させることを交換条件に、ソナディア深水港の受注を持ち出しているようだ」

 あまりにも強引な受注の仕方と、それがもたらす悪影響は、現地社会で顰蹙を買っている。中国企業による受注はバングラデシュ全体の社会資産にダメージをもたらすことに、バングラデシュの人々は気づき始めている。

 さらにバングラデシュ社会が今、関心の目を向けるのが、中国が主導する「新開発銀行(BRICS開発銀行)」(BRICSの5カ国が運営する発展途上国支援の銀行)の動きだ。現地ゼネコンのトップは言う。「彼らはADBやJICA以上の資金を低金利で融資するだろう。BRICS銀行がバングラデシュの大型案件を総なめにしてもおかしくはない」

 南アジアでは、中国の影響の高まりを懸念する声が出てきた。同時に日本への期待も以前にも増して高まっている。日本はバングラデシュのインフラ開発にどう関わり、今後の経済成長にどう寄与するのか。バングラデシュ社会は日本の一挙手一投足をじっと見守っている。

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