生活保護「月29万円でも苦しい」と、「若者の自衛」の関係

2014/10/ 9 11:41

   朝日新聞の「生活保護 月29万円で生活苦しい」という記事が、わたしのフェイスブックのタイムラインでまた回ってきている。1年以上前の記事(2013年3月掲載)なのだが、根強いバズりなのだろう。

   母親と、中学生・小学生の子供2人。月に生活保護を29万円支給されている。生活保護なので、健康保険や医療費は無料。

   習い事や娯楽費に4万円ほど回し、交際費もつかっている。携帯電話代は月に2万6000円だ。

   習い事などでお金がかかり、このまま生活保護費が下げられたら、子どもたちを塾に通わせることができないという。そのためには自分の食費を減らすしか無いと訴える。

生活の期待値だけは、前の世代から引き継いでいるが、実際の生活は貧乏に

維持費が結構...
維持費が結構...

   手取りが月に29万円というのは、月収40万程度か。年収にして480万円で、日本人の平均世帯所得(537万2000円)にほど近い。

   それでも足りないというのは、どういうことか。

   それは、生活が厳しいのではなく、「理想の生活にはとどかず苦しい」のだろう。

   高度成長期の間隔で、子供を塾に通わせ、受験して、大学にいかせる。あとは車とマイホームと年に1度の家族でのハワイ旅行。こんなかんじがバブルな時の「人並み」の理想の活像だった。もはやそのような生活をするには、平均所得では無理で、年1000万円でも楽ではない。

   生活の期待値だけは、前の世代から引き継いでいるが、実際の生活は貧乏になる。さらに税金や社会保障費だって確実にあがって手取りも減っていく。

   今後は、こういう人並みの生活を、ほとんどのひとが送ることができなくなる。

   まじめに働いて平均所得を得ている人でも、そういう生活からは無縁になる。

自分たちの期待値をどんどん下げている

   すでに今の大学生あたりはそれを敏感に察知して、自衛のために、自分たちの期待値をどんどん下げている。これはたぶん無意識にやっているのだろう。

   それが、世間的には、「理想が低い」「草食」「消費に興味が無い」にみえるのだろう。

   しかし、そうではない。それは若者の自衛なのだ。この記事の主婦のような高い期待感をもっていたら、現実とのギャップに打ちひしがれて、絶望を味わうことを、なんとなく自覚しているからだ。

   危ないのは、この記事にあるように40代前半の人だとおもう。バブルが崩壊した後に仕事につくが、バブルの時代をなんとなく知っているような層だ。そしてその世代がちょうど、かつての生活の理想を成し遂げるべき年になってきている。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
1975年東京生まれ。作家、経営コンサルタント。慶應義塾大学環境情報学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社後、戦略グループのコンサルタントとしてプロジェクトに携わる。その後、株式会社ジョブウェブを起業し取締役副社長。同社退社後、個人コンサルタントとして独立。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役。「ノマド化する時代」、「普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド」(森山たつを氏との共著)など著書多数。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
日本で最も住みやすい街に、800万円の一戸建て

    「東洋経済」が発表した「住みよさランキング」No.1の街で、白い一戸建てに住むのも夢じゃない... 続きを読む

PR 2014/8/1

おすすめワード

今旬ワード

スポンサードリンク

がんばろう日本
がんばろう日本
がんばろう日本 詳しくはこちら

他の言語

注目情報

冬のB級グルメと暖かい温泉、是非ツーリングの参考に!

バイク

ミニッツで行く、1万年を超える復元の旅

不思議と驚きに満ちた聖書の世界。今、行けます。考古学者がガイドします。

ミニッツシンキング
おすすめワード

【スポンサードリンク】

関連サイト

セール、クーポンから新商品情報まで、その日に使える掘り出しもの情報満載!

東京バーゲンマニア

都道府県を自動判別する日本初の地域ポータルサイト

Jタウンネット
このページのトップへ