くらし☆解説 「どう"治す"?発達障害」2014年01月23日 (木) 

室山 哲也  解説委員

(アナ)
発達障害が社会的に注目される中、治療につながる研究も進んでいます。
発達障害はどこまで治るのか?どう向き合えばいいのか。
室山解説委員に聞きます。
 
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発達障害とは?
 

(室山)
脳の発達プロセスで、医学的要因が絡まってコミュニケーションをつかさどる発達のバランスが崩れた「障害」の総称。
 
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学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、自閉症スペクトラムがあるが、社会性に問題が出やすく、トラブルにつながりやすい。文部科学省のデータでは、全体の6.5%ほど、その傾向がある人がいるといわれている。知的障害がある場合とない場合があるが、ない場合は気付かないこともあり、隠れた社会問題となっている。
 
(アナ)
具体的にはどんな特徴があるんでしょうか?

(室山)
普通私たちは、言葉のほかに表情なども総合的に読み、相手の真意を推測している。しかし、発達障害の人はそれが苦手。
 
(アナ)
医療上の対応は?

(室山)
AD/HDは、中核症状にきく薬があるが、LD、自閉症にはなかった(興奮を抑えるなどの対処療法)。ところが自閉に対して中核症状に有効かもしれないものが出てきた。
 
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(VTR:東京大学)
東大医学部の山末准教授の研究で、40人の知的障害がない自閉症スペクトラムの人に、オキシトシンを投与(鼻から吸入)したところ、有効だということが確認された。fMRIで見ると、内側前頭前野(人の気持ちへの共感、理解)が活性化しており、効果が5.9%向上していた。fMRIでの確認は世界初で、精神科の権威ある雑誌でも公表され、研究者たちに注目されている。
 
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(アナ)
オキシトシンとは?

(室山)
女性に多いホルモンで、授乳や子宮収縮時に働くモノとして知られていた。その後、脳でつくられ、男性でも信頼性を増すホルモンとしての働きがあることが分かり、このたび自閉症にも有効ではないかということになった。
 
(アナ)
今後の医療応用は?

(室山)
研究は始まったばかりで、今後対象を女性、年齢差などに広げ、投与方法や副作用も調べる必要がある。
 
(アナ)
発達障害にどう向き合うべきでしょう?

(室山)
薬とともに社会的対応も必要。福祉や就業環境など、周辺の環境が改善される必要がある。

(VTR:昭和大学烏山病院のデイケア)
この大学病院では、知的障害がない自閉症の人達が、会社などでトラブルを起こしにくいコミュニケーションの方法を学んでいる。例えば上司が「今夜のみに行かないか」と聞いてきたとき、どのような言葉で断ればいいかを、事例を挙げて練習している。
 
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この訓練は意義はあるが、これとともに、発達障害をきちんと理解し、スムーズなコミュニケーションを可能にする環境作りも必要だとおもう。
 
(アナ)
相談先は?

(室山)
以下の相談先を参考にしてください。
 
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