【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦準備理事会(FRB)のフィッシャー副議長は9日、ワシントン市内で、外国為替市場のドル高傾向について「為替レートはFRBの決定に影響を及ぼす」と述べた。FRBは量的緩和の出口を探っているが、今後の為替動向次第ではドル上昇を加速させかねない利上げを慎重に判断する意向を示唆した。
FRBが8日に公表した9月中旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、複数のメンバーがドル高進行による今後の米景気への悪影響に懸念を示していた。FRB高官が最近のドル高傾向に公に言及したのは初めて。ドル高の流れ自体は「適切だ」と語ったが、9日夜開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で為替市場への関心が強まる可能性もある。
副議長は今後の金融政策決定について「(米国の)総需要への影響を考慮する必要があり、為替レートもいくらか総需要に作用する」と語り、為替によって政策判断が影響されるとの認識を示した。10月下旬の次回FOMCでも為替を議論すると語った。
行き過ぎたドル高で輸出が落ちて貿易赤字が増えれば国内の生産量や所得も減り、米景気を下押しするとの見方が副議長による発言の背景にある。米景気回復への期待を背景にユーロや円に対してドル高が進むこと自体は「経済状況を反映しており、適切なことだ」と語った。そのうえで米国は自国通貨安を誘導する為替介入はしないと強調した。
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