なぜシャツの柄はチェックじゃないほうがいいのか?──ヤフーの楠正憲さんとユニクロに行く

ファッションに悩むtechな人をゲストに迎え、ファッションアドバイザーのジローさんから指南を受けるシリーズ企画「techな人のためのファッション講座」(企画趣旨)。第1回のゲストは、ヤフー株式会社の楠正憲さん。(編集部)

企画監修:ジロー
写真:雨宮 里江
文:風穴 江

クレイジー・ダブルポケット・フランネルチェックシャツの男

第1回のゲストとしてお願いしたのは、楠 正憲さん。

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ヤフー株式会社のID戦略室長にして政府CIO補佐官……というより、「ユニクロの派手なシャツで、インタビューに登場」した、あの楠さんです。ちなみに、あの派手なシャツは「クレイジー・ダブルポケット・フランネルチェックシャツ」という名前だそう。

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Yahoo! JAPANで「ユニクロ 楠 正憲」を検索した結果(2014年8月10日時点)

楠さん、ご自宅のすぐ近くに、都内有数の売り場面積を持つユニクロの店舗があり、文字通り上から下まで、下着も上着も、ほぼすべて、そこで調達しているとか。日常的にユニクロで買い物していて、スーツを着るとき以外は、ほぼいつもユニクロの服を着ているので、あのインタビューのときも、ご本人としては、ことさら特別なつもりはなく、いつものように、いつものユニクロを着ていったら……「あれ?」みたいな(笑)。

そんな楠さんのファッションの悩みは「ビジネスカジュアルを、どう選んでいいのか分からない」ということ。

なるほど。確かに難しいですよね、ビジネスカジュアル。

ファッションの悩みはジローさんに聞け

今回の企画、思いつくのは比較的簡単だったのですが、実際に実現するまでには、いくつもの高いハードルがありました。その1つが、techな人のファッションに関する悩みに、親身になって答えていただけるファッションアドバイザーを探すこと。

様々なファッションのサイトを参考にしてみたり、ファッション入門の書籍を集めてみたり、あるいは個人向けに提供されている「ファッションアドバイス」サービスをひとつひとつ調べてみたり……と、いろいろ手を尽くしてみたものの、「techな人のための」というところで、どれも今ひとつ、しっくりこなかったのです。

要するに、多くの場合「専門用語や暗黙の前提知識が多すぎて、何を言ってるのかよく分からない」状態なわけです。

やっぱりダメかな……と諦めかけたとき、偶然つながったのが、ファッションアドバイザーのジローさん(仮名)。

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左がファッションアドバイザーのジローさん。顔はNGとのことなので、これがギリギリショット。

服飾の専門学校を卒業後、いくつかのブランドショップで接客の経験を積み、現在は、とあるブランドショップの要職に就いている方です。小さい頃からオシャレに興味があったということで、ファッション一筋かと思いきや、約1年ほど、ITエンジニアとして働いていたこともあるという、ちょっと変わった経歴の持ち主。

実際にお会いしてみて、techな人に対する眼差しの暖かさを感じられたのが、今回の企画でファッションアドバイザーをお願いする決め手になりました。

いつものユニクロでも変われる

前述のように、楠さんは普段から「ユニクロ」一辺倒なので、今回のお悩み相談に当たっては「ユニクロ以外のお店で選んでもらおうか」とも考えていました。しかし、ジローさんに相談したところ「ユニクロで、大丈夫ですよ」と即答。

なんと力強いお言葉。というか、techな人がtechっぽいファッションになっちゃうのは、選ぶブランドが悪いのではなく、そのブランドで何を選ぶかが問題だったのですね……。

この取材のとき、私(風穴)が着ていたのは、黒チェックのシャツ(ユニクロ!)でしたが、自分が持っている服を振り返ってみると、確かに青っぽいシャツが多いし、サイズも、ぴっちりしたものよりは、ダブダブな感じのものばかりかも……。さすがジローさん、techな人のことをよく分かってらっしゃる。

ファッションは文脈が大事

いざ、店内へ。残念ながら、今回は買い物風景の写真はありません。ごめんなさい。

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入ってすぐのところに、デザインTシャツのコーナーが。

ガーン! なるほど、オシャレか、そうでないかは、何を着るかもさることながら、どういう「文脈」で着こなすか、というのも大事なんですね。なるほど。

気を取り直して、買い物中に出た「ジローさん語録」をいくつか紹介します。

シャツの襟元は、(下に着ているものが)何も見えない方がいい。

なので、下に肌着を着る場合は、Vネックとかの「襟が深い」ものを選ぶといいそうです。それから、色は「断然、黒がお勧め」とか。白だと、見えてしまったときに「いかにも肌着、という感じだから」だそうです。なるほど。

ジャケットは、紺系が無難。

紺色は、いろいろなものに合わせやすいからだそう。特に、春夏には良いとのこと。

ヘンリーネック(丸首で、ボタンで胸元を開けられるようになっているシャツ)はやめておいたほうがいい。

下手に着ると、部屋着に見えるからだそうです(笑)。

シャツの柄は、チェックじゃないほうがいい。

チェック柄は、オシャレな感じに見せるのは難しいから、とのこと。ギンガムチェックなら、まだOKなのだとか。

ジャケットとシャツは、濃い色の組み合わせがお勧め。

簡単にオシャレっぽく見せることができる。例えば「黒+黒」などは、それだけで「オシャレっぽく」見せることができる。逆に「ベージュ+ベージュ」のような組み合わせは、とても難しい。

パンツは、ノータックが基本。

タックありは、オシャレ上手な人のみ。

あと、「ケミカルウォッシュ」は難易度が高いです、とのこと。以上、ポイントを紹介しましたが、少し補足。

ジローさん曰く「ファッションは、基本的には、人それぞれ」。なので、「シャツの襟元から、その下に着ているものが見えてもいい」のです。ただ、「何も考えず、見えてしまっている」状態と、「意図的に、見せるようにしている」のとでは、大違い。ファッションの「文脈」で着こなすことができれば、そこは自由にして構わないのです。ただ、そうした「文脈」をどう作ればいいか分からない場合は、「襟元は見せない」といった「無難な着こなしのセオリー」は役に立つでしょう、ということなのでした。

ジローさんにいろいろアドバイスいただきながらの買い物は、本当に楽しくためになる時間でした。

いつものユニクロで、楠さんはどう変わったか?

さて、ジローさんからアドバイスを受けながら、買い物した結果がこちら。

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いかがでしょう?

ジャケットというアイテムが増えているということもありますが、ずいぶん、すっきりした印象になったのではないでしょうか。

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シャツの襟は「第2ボタンぐらいまで外して着ても」良いとのこと。

下に着ている肌着が黒だと、たとえ少し見えても、それほど違和感はないですね。なるほど。

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「こういう着崩し方もアリですよ」とパンツの裾を少し折って上げるジローさん。

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なるほど。ちょっとしたことで、だいぶ雰囲気が変わりますね。

いかがでしたでしょうか? ファッションに自信が持てないという方の参考になれば幸いです。

Hack your fashion!

(了)


ファッションに関するお悩みを広く募集します。ジローさんに聞いてみたいことがあれば、編集部の風穴まで、お気軽にお寄せください。


謝辞:
楠さんへのヒアリングは「デニーズ 千歳船橋店」にて行いました。ありがとうございました。


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