乗り越えるのが難しい身長の壁
ラノベにはあまり詳しくない私ですが、某禁書シリーズは三冊ほど読んだことがあります。アニメも最近(レールガンの方ですが)観ました。主人公の設定は本当に面白いですよね。ただ闇雲に強いのではなく、ああいった限定的な強さを作りだした作者のセンスには感心します。
さて、シリーズ一巻において、上条当麻くんがパンチ一発で二メートルを超すステイルをKOしてますが、これはまず不可能です。いや、不可能ではありませんが……二メートルを超す男をパンチ一発でKOするのは相当の鍛練が要求されます。そんなわけで今回は、身長の高い人間を倒すのが現実においていかに困難であるか、詳しく説明したいと思います。ちなみに、私は某禁書シリーズを非難するつもりも批判するつもりも全くありません。
今までにも私は、体格差について何度か書いてきました。しかしそれは、体重差によるものであり、身長の差についてはほとんど言及していなかった気がします。
さらにラノベ業界では、身長の差による不利な点を描いた話がほとんどないような気がしまして……まあ確かに、巨人殺しのジャックという物語はありましたが、小人を殺しても物語にはなりにくいでしょうからね。
さて、闘いにおいて身長差がいかに不利な状況をもたらすか……二年前の私の試合内容を紹介するのが手っ取り早いと思いました。なので、ここに可能な限り再現させていただきます。 まず相手を見た瞬間、ビビりました。やたらと背が高いのです。手足が長くすらりとした体型、そして私より遥か上に位置する顔から見下ろされる……これは想像以上にキツいです。某アニメではありませんが、「何だ、このプレッシャーは……」と呟きたくなるくらいに。この時点で、まずは圧倒されます。
そして試合が始まり、様子見のインロー(足先でチョンチョンと相手の太ももを蹴る技です。ダメージよりは距離を測るための技ですね)を放ったところ、わずかに届きませんでした……しかし次の瞬間、いきなり左ジャブをもらったのです。そう、相手の腕は私の足より長かった……これは絶望的ですよ。
で、私はなりふり構わず組み付きました。胴へのタックル……のような形で組み付き、そのまま押し込んで行きましたが、またしても想定外のことが起きました。背が高くて、コントロールできないのです。
普通(百七十センチから百八十センチくらい)の大きさなら、こうやって倒して、こうやって関節技かけて……というやり方は体に身に付いてます。ところが、相手は背が高過ぎて……長い手足で抵抗されると、非常にやりづらいです。しかも、相手も素人ではありません。防御の方法は知っています。柔道やレスリングの経験者なら倒せたのでしょうが……私には無理でした。
仕方なく、私は腹に膝蹴りを何発か入れました。そして相手の意識を腹に向けておいて、首を引き寄せて顔面への膝蹴り! といきたかったのですが……簡単にほどかれました。当然です。腹に意識を向けさせれば、腹筋に力が入ります。すなわち体幹に力が入っている状態です。こちらの攻撃に対し抵抗する体勢になっているわけです。そのような状態で首を引き寄せるのは(私の経験では)、オススメのやり方とは言えません。
まして、腹筋に力を入れた状態の自分より遥かに背の高い相手の首を引き寄せての顔面への膝蹴り……まあ、相手が素人だったら可能かもしれませんが、経験者相手にはまず無理ではないかと。以前、そんなシーンのある本を読んでいたのですが、試合で試してしまった私……本当にバカでしたね。試合後、見に来てくれた人に「あそこで首を取りにいったのは失敗だったね」と言われました。
その後、膠着状態と見なされレフェリーに分けられ、またしても打撃の展開……ヤケになった私は接近してパンチを打ち、それが一発当たりました。が、わずかに顔を歪めただけです。そう、背の高い相手にはパンチがクリーンヒットしにくいのです……打撃の上手い人ならともかく、そうでない私には無理でした。経験のある方ならわかると思いますが、パンチは腰を回転させ、拳に上手く体重を乗せることで一発KOを生み出すことができます。しかし相手の顔が高い位置だと……体重が乗りにくいですね。
まあ、そんなこんなで判定負けでしたが、背の高い人間がいかにやりづらいか、少しはわかってもらえたと思います。少なくとも、背の高い相手への右ストレート……あるいは首を引き寄せて顔面への膝蹴り……これで倒すのは本当に難しです。もしリアルで闘うことになったら、止めた方がいいかもしれません。まあ、だからこそ、せめてフィクションの中では簡単に、そして華麗に倒したいのかもしれませんね。
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