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【社会】

川内原発 初の住民説明会 質問 大半が再稼働疑問視

川内原発の事故対策についての説明を聞く市民たち=9日、鹿児島県薩摩川内市で(浅井俊典撮影)

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 九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)が原発の新基準を満たすとの審査結果について、原子力規制委員会による周辺住民への説明会が九日、立地する薩摩川内市であった。再稼働に必要な地元同意の一環だが、住民からは審査内容への疑問にとどまらず、住民との対話が足りないとの意見や、原発にたまり続ける使用済み核燃料への心配などが噴出した。

 説明会は県が要請し、原発から三十キロ圏内の五市町で十五日まで順次、各市町一日ずつ開く。薩摩川内市の説明会には抽選で選ばれた約千人が参加した。

 冒頭で規制委事務局の職員が審査結果を説明。川内原発では地震と津波の想定を厳格化し、その上で原発の冷却を維持できるよう非常用電源や冷却設備が多重化・多様化されたなどと強調し、理解を求めた。

 しかし質疑では、十人の質問者のうち九人までが、原発再稼働を疑問視。使用済み核燃料や、再処理した後の核のごみの処理に見通しがない中、「再稼働すれば使用済み核燃料はたまるばかり。当地に押しつけることにならないか。あり得ない」と批判の声が上がった。

 規制委の審査は机上のものにすぎないとして「全く説得力がない」との厳しい意見も。ある発言者は、重大事故時に住民が安全に逃げるための避難計画が充実しないうちは再稼働は認めないとした。参加を申し込んだのに抽選に外れた市民もおり、「住民の思いを軽々しく扱っている」との声も出た。

 説明会は午後七〜八時半の予定だったが、他にも多くの市民が質問を希望。しかし主催者側は「既に予定時間を過ぎた」と、午後九時で打ち切り、参加者は不満を口にした。

 説明会は日置市、いちき串木野市、阿久根市、さつま町でも開く。県は説明会の後、早ければ十二月の県議会で再稼働の是非を審議し、結果を踏まえて再稼働に同意するかを判断する。ただ、説明会の参加者アンケートなどで住民の納得が得られていないと判断した場合は、追加で説明会を開く可能性もある。

 

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