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【正論】
言論弾圧に体張った韓国どこに 東京基督教大学教授・西岡力
そもそも出国停止が続いていたことが異様だった。後任の支局長がソウルに赴任しており、加藤記者は本社に戻って社会部編集委員として勤務すべき時期になっていた。加藤記者は言論の自由の範囲内で名誉毀損ではないという立場を明確にした上で、検察の事情聴取に応じている。証拠隠滅や逃走の恐れはない。司法当局は在宅起訴という判断の趣旨を考慮して、速やかに出国停止処分を解き、加藤記者が日本で通常の言論人としての勤務ができるようにすべきだ。自由と民主主義の国における裁判被告は、判決が出るまで推定無罪の立場で最大限の人権尊重がはかられなければならない。
もう1つ残念なのは、加藤記者がコラムで引用した朝鮮日報をはじめとする韓国の保守言論が、言論の自由を守る立場に立たず、沈黙するか、加藤記者批判を行っていることだ。反対にハンギョレ新聞や京郷新聞など左派メディアが検察批判を行っている。
私は「北朝鮮の独裁政権を倒して韓国主導の自由統一を行うため、日韓の保守派の連携を進めるべきだ」と10年以上前から主張してきた。韓国の保守団体と一緒に軍事境界線近くから北朝鮮に向けて風船ビラを飛ばす活動を行ったこともある。