首相 消費税判断前に経済対策の効果検証10月6日 19時24分
安倍総理大臣は、衆議院予算委員会の基本的質疑で、来年10月に消費税率を10%に引き上げるかどうか判断するのを前に、ことし4月の8%への引き上げにあたって実施した、5兆円を超える経済対策の効果などを検証する考えを示しました。
この中で、維新の党の柿沢政務調査会長は、原子力発電所の再稼働に関連して、「新しい規制基準と、それに基づく原子力規制委員会の審査は、安全が完全に確認され、世界最高水準の厳しいものになっているという認識でいいか」とただしました。
これに対し、小渕経済産業大臣は「世界でも進んだ規制基準を定めているアメリカやフランスと比較しても、遜色のない規制基準となっており、地震や津波、火山といった自然条件の厳しさなども勘案している。一方で、絶対的な安全、100%の安全やゼロリスクということはなく、不断に安全性の向上を図っていくことが重要だ」と述べました。
次世代の党の山田幹事長は、いわゆる従軍慰安婦の問題を巡って、朝日新聞が一部の記事を取り消したことに触れたうえで、「アメリカ各地の公園や役所の前などに慰安婦の像なるものが建てられ、『少女たちが自宅から20万人連れ出され、日本軍によって性奴隷状態を強制された』というものも、どんどん増えている」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「朝日新聞の慰安婦問題に関する誤報により、日韓関係に大きな影響や打撃を与えた。国際社会における日本人の名誉を著しく傷つけたことは事実だ。民主主義がしっかりと健全に機能するためには、報道の自由が極めて重要で、そうであるからこそ報道機関の責任は重い」と述べました。
これに関連して岸田外務大臣は、「政府の文書ではない『アジア女性基金』への拠出金の呼びかけが、外務省のホームページに載っているのは問題だ」という指摘に対し、「過去の経緯を紹介する形で掲載されてきたが、削除するか注釈をつけるか部内でしっかり検討したい」と述べました。
一方、安倍総理大臣は、戦没者の遺骨収集について「アメリカと共同で、あるいは自衛官を活用して、さまざまな手段を用いながら、一日も早い、一柱でも多くの帰還を目指していきたい」と述べました。みんなの党の浅尾代表は、来年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げに関連して、「ことし4月の5%から8%への引き上げに至ったなかで、5兆円の経済対策がどのような効果があったのか検証すべきではないか。最終的な消費税率の引き上げの前に、検証結果を予算委員会にも示してほしい」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「8%の引き上げに対する反動減対策と7月から景気回復軌道に戻れるようにする観点から、5兆円の経済対策を行ったが、どういう効果があったか、効果がなかったのかも含めて、当然検証したい。国会開会中に分析できるかどうかもあるが、経済対策がどういう成果や効果を上げたのかは分析したい」と述べました。
共産党の赤嶺安全保障部会長は、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画について「沖縄県民が求めてきたのはアメリカ軍基地の縮小撤去を進めることで、基地のたらい回しでは絶対にない。安倍総理大臣は沖縄の負担は軽減されると言うが、負担は沖縄本島の北部中部の住民に集中し、将来にわたって住民が基地に苦しめられる」と指摘しました。
これに対し安倍総理大臣は、「『基地はなくして』ということになれば、すっかり沖縄の基地負担の軽減につながるが、アメリカ軍基地は日米安保条約の中で抑止力機能を果たし、日本は平和と安定を手に入れることができる。相手があることで、こちらがこう言えば決まるということではないが、着実に交渉しながら一歩ずつ沖縄の負担の軽減に向けて努力を重ねている」と述べました。
生活の党の玉城幹事長代理は、普天間基地の移設計画について、「名護市辺野古では海上保安庁の厳しい制圧行動などに対して、たくさんの県民世論から厳しい声が上がっている。しっかりと国民の自由を尊重する立場から見解をいただきたい」とただしました。
これに対し、太田国土交通大臣は「辺野古の移設に関しては、現場海域の安全を最優先に考えるとともに、法令の励行の観点から適切に対応していく必要がある。海上保安庁においては必要な態勢を整え、関係機関と連携しながら法令に基づいて対応していると認識している」と述べました。