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 インターネット検索最大手「グーグル」で自分の名前を検索すると、犯罪に関わっているかのような検索結果が出てくるのはプライバシー侵害だとして、日本人男性がグーグルの米国本社に検索結果の削除を求めていた仮処分申請で、東京地裁は9日、検索結果の一部の削除を命じる決定を出した。専門家からは「検索サイトに、検索結果の削除を求める司法判断は国内で初めてではないか」との指摘が出ている。

■EUでは5月に削除命じる判決

 関述之裁判官は9日、男性の訴えを認め、男性が求めた237件のうち、著しい損害を与えるおそれがある約半数の122件について、検索結果それぞれの「表題」とその下に表示される「内容の抜粋」の削除を命じる決定を出した。新潟大の鈴木正朝教授(情報法)は「これまで、検索サイトに対して、検索の補助機能(サジェスト機能)の表示差し止めを命じる判決はあったが、検索結果の削除を求めた国内の判断はこれまで聞いたことがない」と話している。

 男性は今年6月、犯罪を連想させる検索結果が出ることで、「現在の生活が脅かされる」として、削除を求める仮処分を申し立てた。9日の決定で、東京地裁は、男性の人格権が侵害される内容が表示されていることが認められるとして、「(検索)サイトを管理するグーグル側に削除義務が発生するのは当然だ」と指摘。グーグル側の「検索サービスの提供者には検索結果の削除義務は原則として認められない」とする主張を退けた。男性の代理人の神田知宏弁護士は「ネット上で、プライバシー侵害を受け、心身ともに傷ついている多くの人にとって今回の決定は大きな朗報だ」と話した。