[1]決議案第3章の(9)Bについての改正意見
1 自衛隊解消の3つの段階を説明した文章の後に、次の文章を挿入する。
「以上の段階の中で、情勢を的確に判断しながら第2段階を極めて短期間で終わらせ、安保条約の廃棄後出来るだけ早い時期に自衛隊解消への第3段階に進めるのが我が党の基本的態度である」
2 自衛隊が「一定期間存在することは避けられないという立場にたつ」を「一定期間存在することもありうるという立場にたつ」とする。
[理由]
安保条約が廃棄される民主連合政府は、革新3目標に基づいた政権であり自衛隊廃止はその目標にはありません。ですからその政権のもとで自衛隊が当面の間存続していることはありえます。しかし、現実に安保廃棄が国民的議論の姐上にのぼるときのことを考えれば、安全保障をどうするかの議論が白熱するのは明らかであり、その時国民が「自衛隊を、国民の安全のために活用する」(決議案)道を選ぶのでなく、「警察力や自主的自警組織など憲法9条と矛盾しない自衛措置をとる」(20回大会決議)道を選ぶことも当然考えられますから、安保廃棄と自衛隊解消がほぼ同時に実施されることもありえます。どの道を選ぶかは、その時の国民の判断に任せるべきであり、現時点で我が党が青写真を描くべきではありません。
また、「民主連合政府」によって、独立・中立の道をすすみだしたさいの安全保障政策が、憲法9条と矛盾しない範囲のものとすべきであることを、70年代から繰り返し明らかにしてきた」(20回大会報告)ように、そうした安保廃棄の国民的議論の際に我が党としては出来る限り早急な自衛隊解消を主張すべきです。しかし「段階論」に従えば、自衛隊が「一定期間存在することは避けられない」わけですから、憲法違反の自衛隊の当面存続を主張するということになります。
こうした「段階論」を提起するなら少なくとも「日米安保を廃棄してもアジアの平和安定の情勢が成熟するには一定の期間が必要であり、憲法違反であっても何らかの軍事力を保持する必要がある」という様な情勢分析を展開する必要があります。しかし決議案では「安保廃棄についての国民的合意が達成されることと、自衛隊解消の国民的合意とはおのずから別個の問題」であるという以外なんの説明もされていません。以上のように自衛隊解消の「段階論」は極めて未熟な議論と思いますので一切の削除を望みます。少なくとも上記2点の修正は最低限どうしても必要だと考えます。
[2]安全保障政策の問題点について
1、志位氏は結語の中で「自衛隊の活用」の例として「急迫不正の主権侵害」を指摘しています。では自衛隊を解消したあとで「急迫不正の主権侵害」があったらどうするのでしょうか。どんなにアジアの平和的安定の情勢が成熟しようがその可能性はゼロにはなりません。「現実的にはほとんど想定されないこと」ですが「理論的にはそういう場合にどうするかという回答は必要」(結語)になるのです。もしその回答が「自衛隊の活用」だけだとすれば、永久に自衛隊の存続を認め続けることになるでしよう。
2、民主連合政府のもとでも「存在している自衛隊を、国民の安全のために活用することは当然」という理屈はわかります。しかし自衛隊がどんな場合でも簡単に革新統一戦線の指揮に従うと考えるのは誤りであり「敵の出方」には充分な配慮をする必要があります。決議案ではこの点の解明がなされていません。現実には安保を廃棄した日本に対して急迫不正の主権侵害を行う可能性が最も高いのはアメリカではないでしょうか。それを考えるなら「自衛隊を国民の安全のために活用」と規定するのは危険だと思います。
3、もともと我が党の安全保障政策には曖昧さがありました。今回の決議案はそれを整理したつもりなのでしょうが、ますます混迷を深めていく様に思われてなりません。安保の廃棄はまだ差し迫った問題になっていませんから、もう少し時間をかけて再検討し、「憲法に違反しない範囲での自衛措置」を大いに研究しようではありませんか。