外務省 産経前ソウル支局長起訴に憂慮伝える10月9日 17時32分
産経新聞のコラムが韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領の名誉を傷つけたとして、韓国の検察がコラムを執筆した前ソウル支局長を起訴したことを受けて、外務省の伊原アジア大洋州局長は韓国の駐日公使を外務省に呼び、「報道の自由や日韓関係の観点から極めて遺憾で、事態を深く憂慮している」と伝えました。
産経新聞のコラムが韓国のパク・クネ大統領の名誉を傷つけたとして、韓国の検察はコラムを執筆した前ソウル支局長を、8日に在宅のまま起訴しました。
これを受けて外務省の伊原アジア大洋州局長は9日午後、韓国のキム・ウォンジン(金元辰)駐日公使を外務省に呼びました。
この中で伊原局長は「政府としては韓国政府に対し、累次にわたり懸念を伝え、慎重な対応を求めてきた。
それにもかかわらず前支局長が起訴されたことは、報道の自由や日韓関係の観点から極めて遺憾であり、事態を深く憂慮している」と伝えました。
これに対しキム公使は今回の検察の対応について、「検察当局が法と原則に基づいて捜査を進めたうえでとった措置であり、日韓の二国間関係とは無関係にとられたものだ」と説明したうえで、「申し入れの内容は、本国に正確に伝達する」と応じたということです。
民主国家としてあるまじき行為
菅官房長官は午後の記者会見で、「従前から、累次に渡って懸念を伝えてきたにもかかわらず、報道の自由や表現の自由といった民主国家としては極めて重要な問題について、今回このような対応をされた。
日韓関係からみて極めて遺憾であり、そうした事態を深く憂慮し厳重に申し入れをしたということだ。
民主国家としてはあるまじき行為だと考えている」と述べました。
一方、菅長官は、記者団が起訴の取り下げを求めないのか質したのに対し、「内政干渉になる部分については、控えるべきは控えるのが常識ではないか」と述べました。
日本記者クラブが抗議声明
産経新聞のコラムが韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領の名誉を傷つけたとして、韓国の検察がコラムを執筆した前ソウル支局長を在宅起訴したことについて、新聞や放送、通信各社で作る日本記者クラブは9日、抗議する声明を出しました。
声明では「報道の自由と表現の自由は民主主義社会にとって欠くことのできないものであり、国民の知る権利を守る重要なものである」とし、「今回の起訴は、報道の自由と表現の自由を侵害するものであり、自由な記者活動を脅かすものである」と抗議しています。