>> >> 【コラム】Ingress に新たに追加された「Missions(ミッション)」から垣間見える Google の戦略についての個人的な考察 #Ingress

【コラム】Ingress に新たに追加された「Missions(ミッション)」から垣間見える Google の戦略についての個人的な考察 #Ingress

| by いぢま。
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ども、コンニチワ。あと少しでやっと Level8 になれそうな、まったりエージェント いぢま。@ezm_t )です。
青組の皆さん、戦力外でマジスミマセンw

さてさて、遂に先月(2014年09月26日)、Ingress の新しい機能「Missions(ミッション)」の作成機能が一部のユーザーに解放されましたね。
エージェントの皆さん、特にある程度レベルが上がっている方々には、また新たな楽しみが増えてモチベーションが上がっている事と思いますし、個人的には全解放が待ち遠しいです。

で、そんな新機能からも Google が目指すところが垣間見えるような気がするので、その辺りについてオイラの思うところを綴ってみようかと思います。

今回はオイラの個人的な意見をつらつらと書き綴っているだけですし、かなりの長文になってしまいましたので、本当に暇で死にそうな時や、文字読むと眠くなるから寝る為に何か読むものが欲しいなあってな時などにお読み頂ければと思います。

そして、「へー、ゲームの機能追加からこんな事まで考えるヤツがいるんだあ。」ぐらいに思って頂ければコレ幸いにございます。

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Ingress とは?

Ingress はスマホの位置情報を使って、EnlightenedResistance の何れかに所属する "エージェント" と呼ばれるプレイヤーが現実世界にある様々な場所に設定された "ポータル" と呼ばれる拠点やその拠点間を繋いで出来る "コントロールフィールド" を奪い合う世界規模の多人数参加型ゲームで、開発元・サービス提供元は GoogleNiantic Labs です。

Android・iOSデバイスをスキャナーとして使用し、世界中に散らばる「謎のエネルギー(Exotic Matter=XM)」を探し、各地に散らばるポータルを繋いで行くことでテリトリーを拡大できる。「Enlightened(覚醒派)」と「Resistance(解放軍)」2つのチームに別れ、それぞれ協力して陣地を拡大するのが目的。世界中がゲームの舞台となっており、他のプレイヤーと交流してゲームを進めていく。「Map-based Mobile Massive Multiplayer Online Role Playing Game(地図ベースのモバイル大規模オンラインRPG)」の略から「MMMMORPG」と言われている。

via. Ingressとは - はてなキーワード

ゲームの世界観というか、エージェント活動がどのようなものなのかは以下の公式動画を見るとイメージし易いと思います。


▲ Ingress のイメージがカッコ良く表現された公式の CM 動画


▲ Ingress についてプレイヤーのインタビューを交えて解説した公式動画

で、実際に Ingress の世界にのめり込んでくると、実はこんな XM みたいなエネルギーが本当に放出されていて、自分たちはゲームしているつもりでいるけど知らず知らずホントに地球の為に活動しているんじゃないかという厨二病的なものの見え方がしてきたり...。

それはもう、正に "The world around you is not what it seems." のキャッチコピー通りの体験ですね。
そして、更にハマっていく訳ですw

NianticLabs の John Hanke さん(@johnhanke)が出したメッセージには世界で 700 万人以上のエージェントが Ingress をインストールし、新たな出会いや新たな発見、冒険に寄与したことについて触れられています。

▼ NianticLabs の John Hanke さん(@johnhanke)からの「Missions(ミッション)」に関するメッセージに、同じく NianticLabs にお務めの川島 さん(@mask303)が日本語訳を付けてくださってます。

▼ エンベッドした投稿が上手く表示されない場合はコチラのリンクからどうぞ
The past year has been an eventful one for Ingress. Over seven million Agents…

今までにも地図情報サイトやアプリで有名なマピオンが作った『国盗り合戦』や、世界に 250万人以上のユーザーがいる宝探しゲーム『Geocaching Intro』ように位置情報を使ったゲームのようなものは存在しますが、ここまで成功したものは無かったと思います。

国盗り合戦
カテゴリ: ゲーム
販売元: Mapion Co., Ltd.
価格: 無料

Geocaching Intro
カテゴリ: ナビゲーション
販売元: Groundspeak Inc.
価格: 無料

と言っても、Google ならではのスケール感、そして、実際の場所に足を運び、達成感を味わえるように考え抜かれた各ポイントやバッジ、レベルアップなどの仕組み、参加者が感情移入し易いように綿密に練られたゲームの世界観とバックストーリー、全てが相俟ってここまでの成功に至っているので、比べてしまう事自体が可哀想ですね。
そして、Ingress は今回の「Missions(ミッション)」機能追加によって新たな局面を迎えようとしていると思うのです。

但し、ここで勘違いしてはいけないのは、Google はこのゲームで成功して、このゲームで稼ごうなどと微塵も考えていないのです。多分ねw

Ingress は完全に無料です。
広告の表示もアプリ内課金もレアアイテム取得にポイントやコインを使うような仕組みも一切ありません。
ま、リアルで移動しなくていけないので、移動手段や体力維持の為に実際のお金を使う事があって、それらを「リアル課金アイテム」なんて呼び方をする事はありますが、そんなもの Google には1円の儲けにもなりませんよね。

しかしながら、Google だって営利企業です。
何処かで利益を出さなければ成り立ちません。
他の製品・サービスでの利益を充当して企業としては赤字にはならないから、ゲームはイメージアップ戦略的な単なる娯楽のサービスなのでしょうか。
いいえ、少なくともオイラは Ingress においては違うと思っています。

では、その辺りについて紐解いてみましょう。

Ingress の具体的な活用例

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ミッション解放のアナウンスと前後して、岩手県が広報活動や観光振興、復興推進などに Ingress の活用を始めるなんてニュースがありました。

ニュース - 岩手県がスマホゲーム「Ingress」を観光振興などに活用:ITpro

Ingressを観光振興に 岩手県が初の試み 「エージェントのみなさん、ポータル申請しに遊びに来て」 - ITmedia ニュース

で、発表通り 2014年09月25日には広報、観光、復興などの担当者から成る『岩手県庁Ingress活用研究会』が発足され、初会合が行われたようです。

世界的陣取りゲーム「イングレス」に岩手県が注目したワケ | 日刊SPA!

記事ではミッションに関しては触れられてはいませんが、岩手県がやろうとしている名所や観光スポットへのポータルの設置、テーマに沿ったポータルやそれらを活用したイベントの開催などは、今回解放されたミッション作成機能によって非常に現実味を帯びてきますね。

例えば、地域振興の為に指定されたポータルを巡ってポータルキーを集めるようなスタンプラリー的なイベントを企画した場合、「Missions(ミッション)」機能を使わずにこれらのイベントを行おうとすると、別途アプリ外の部分でイベントに利用するポータルや使用アイテム、行動範囲などを設定し、参加者にも周知しなくてはなりません。
また、参加者も配布された案内図的なものと Ingress のスキャナー画面を見比べながらゲームを進めていかなくてならなかったりと、多少面倒な部分も出てくるでしょう。
もし、達成状況に合わせて景品などを出すとしたなら、結果の確認作業も大変なものになるでしょうね。
或いは、きちんとした指示を伝えないと、誤読や誤解を招いてトラブルになったり、イベント自体が破綻してしまう事だってあるかもしれません。

でも、「Missions(ミッション)」機能を使えば、ただポータルを巡るだけでなく、ハックやキャプチャー、パズルなどの課題を設定する事もできますし、課題を解いて次に進むといった流れで意図した通りにエージェントを誘導していく事も可能です。
そして、ミッションをクリアしたエージェントにはそのミッションオリジナルのバッジが付与されるので、達成状況の確認も容易に出来るはずです。
勿論、そのバッジのデザインも作成機能を使って作成者がアップロードするので、参加者には記念にもなりますし、主催者にとっては PR にもなるという地域振興にはうってつけの機能なのです。

個人的にも、今回追加された「Missions(ミッション)」は正にこういった活用を促進し、地域の活性化や人と人との交流を活発にしていってくれるものと期待しています。

そして、これらの活用方法は、自治体だけでなく、飲食店や物品販売の店舗などをチェーン展開している企業にとってはキャンペーンなどを絡めて集客の手助けとして使える可能性は大いにある訳です。
現に、前出のJohn Hanke さんのメッセージでも、同じく NianticLabs が開発した『Field Trip』のデータを Ingress のミッションでも活用出来るようにしたとされています。

▼ iOS 版
Field Trip
カテゴリ: ライフスタイル
販売元: Google, Inc.
価格: 無料

▼ Android 版
Field Trip
NianticLabs@Google
価格:0  平均評価:3.8(6,811 件)


Field Trip』は、名所旧跡から最新のベストスポットやショップ、レストラン、エンターテイメントに関するデータを位置情報に基づきその該当する場所に近付いた時に表示してくれるアプリです。
そして、Ingress のポータルとは違ったアプローチで収集された地域情報を持っていて、各分野の専門誌やサイトがデータの編纂を行っています。
これらの情報が Ingress と統合されるという事は、エージェントが申請した位置情報も名前も不正確なものが含まれるポータルに比べて企業にとってのメリットも大きいはずです。

ま、日本においてはまだ登録情報が十分とは言い切れませんが、今後日本でも本格的に情報の拡充がされていけば活用の可能性は大きくなっていくはずです。

Ingressにクエスト機能「Mission」登場 まずはAndroidから - ITmedia ニュース

バーチャルとリアルの支配

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では、Google は前述したようなミッションを利用したキャンペーンなどを打ちたい企業から参加費や広告費などを取って利益を上げようと考えているのでしょうか。
元々広告収入が主な収入源である Google 先生ですから、その可能性は大いにあるでしょう。
実際、広告収入は 2013年第4四半期の傘下のサイトからだけでも 105億5100万ドルにも登ります。(*1)
ミッションのポータルを広告と見立てて 1ハック幾らで企業から広告費を取るというなら、エージェントには邪魔な広告表示をする必要も無いですし、良い考えかもしれません。

例えば、「Missions(ミッション)」を作成する際に、事前に広告として設定されているポータルだった場合に「ミッションに設定したポータルを収益化出来ます。」ってな感じで作成者が広告収入の受け取りを設定出来たりするようになるかもしれませんね。
Ingress は Google アカウントと紐づいたゲームですから、同じく Google アカウントと紐づいた AdSence 的なサービスとの連携も可能なはずです。

*1 参照:Google Inc. Announces Fourth Quarter and Fiscal Year 2013 Results – Investor Relations – Google

ですが、Ingress からの広告収入という形では終わらない、その先を見据えた展開があるんじゃないかと思うんです。
冷静に考えてみてください。
どんなに人気のゲームでも、いつか下火になる時が来るんです。
それまでの間にどれほどの収益が見込めるでしょうか。

Google 先生の得意技、やるだけやって駄目ならスパっと切り捨てるという手もあるでしょうが、それは Ingress だけを見た場合の考えです。
前述した通り、Ingress だけで収益を上げようなんて考えていないと思うんです。

Ingress で実用性のあるプラットホームを作り、実績データを積み上げ、その仕組みやデータを使って他の開発会社がゲームやその他のアプリを開発する。
勿論、ライセンス契約を結んでシッカリ貰うもんは貰う。
開発会社は Google が確立したシステムと途轍もない処理能力を誇る Google のインフラを利用してサービスの提供が可能になる。
と、いうのがオイラの考える今後のシナリオです。
そして、そのアプリ内で使用する地域情報を広告枠として組み込む事も可能でしょう。

で、そんなゲームなどで重要なポイントとなる場所に自分のお店などを設定して貰えれば単なる宣伝効果だけでなく、実際に誘導まで出来てしまいますし、プレイヤーからすれば広告を見せられているという嫌悪感もなく、その場所(店)が擦り込まれる事になるのです。
言ってみれば、ネット広告に変って、バーチャルとリアルの境界に展開する新たな広告プラットホームの構築です。
勿論、ゲームに拘る必要もありません。
単なるナビゲーションアプリでも構わないでしょう。

更に、グーグルグラスを使って AR として展開すればゲームなどのユーザー体験はより現実との境界を越えた凄いものになるでしょう。
Ingress ならば、実際の場所を訪れながらそこに轟々と立ち上る XM を目の当たりにしながらプレイ出来てしまうんです。
そう、前掲した公式の CM 動画みたいな映像を見ながらプレイ出来ちゃう訳です。
ドラクエのようなロールプレイングゲームなら、実際の街がダンジョンとなり、そこで本当に目の前に立ちはだかるモンスターと対峙して戦う事になるんです。
想像しただけで、武者震いしてしまいますね。

そうする事で、Google は自らがヒット作を作る努力をする事も、ゲームやアプリへの集客に労力を割く事も無く、ライセンス料と広告収入の両方を得る事が出来てしまう訳です。
ゲームやアプリ自体の集客は各開発元が勝手に努力してくれますし、例え下火になっても次から次へと新しいものが出てくるはずですから、Google には大した問題ではありません。
そう、Google AdSense を利用するサイトと同じです。

それだけではありません。
様々なアプリが開発され、それぞれのユーザーが増えれば増える程、Google には膨大な個人の行動記録が蓄積されていきます。
所謂ビッグデータってやつです。
学術的な研究に活用されるかもしれませんし、マーケティング的なものに活用されるかもしれませんし、活用の方法は想像し切れませんが、何れにせよ、そのデータも大きな利益を呼ぶものになっていくはずです。

そうして完成されたプラットホームやデータを Google が実験中の自動運転システムなどに活用できるなら、自動車業界にまで影響力を持つ事になるかもしれません。
例えば、人々の行動パターンを解析して、「この時期の、この時間の、この場所」は人が集まって渋滞が起こり易いと予測して回避する「高精度渋滞予測機能」なんてのも出来ちゃうかもしれません。
或いは、最近の人の流れを解析して流行りの観光スポットを巡る「ホット観光モード」とか、もっと単純にお買い得なお店に連れて行ってくれる「お買い物モード」とか、そんな自動運転も可能になっちゃうかもしれないのです。
もし、その頃まで Ingress が残っていたならミッションを選択するだけで自動的にポータルを巡ってくれる「ミッションモード」なんてのもいけますね。
や、そこまで Ingress に拘る必要はないですねw

ここまで来たら最早広告収入に拘る必要もなくなって、膨大な行動記録データの解析に拠って予測を立てて、より円滑な走行ルートを自動的に選択したり、危険なルートを回避したり、車だけじゃなく社会全体の交通や人の動きをコントロールするような SF チックなところまで登り詰めるかもしれません。

実は、Google が目指しているところはそんな途方も無いところで、Ingress はその為の実験・研究の一端、或いは、後の開発会社に向けての壮大なるデモンストレーションなのではないかと思うのです。
そして、我々エージェントは、その壮大な実験(デモンストレーション)の一部に参加している被験者なのではないかと思うのです。
や、実際には Ingress の開発や運用に携わっている現場の方々はそんな事は考えてなくて、純粋にゲームを楽しんで欲しくて提供しているのかもしれません。
でも、Google としてはそういった戦略を視野に入れて、様々なサービス連携による強大なプラットフォーム作りをしているんじゃないでしょうか。

そして、Ingress はそれら実験中のインターフェースのサンプルなのではないかと思うのです。
新たに解放された「Missions(ミッション)」には、そんな Google の「単なるゲームではないのだよ。これは。」ってメッセージが隠されているような気がしたので、こんな長文を書いてしまいました。
ま、全てはオイラの勝手な思い込みなのかもしれませんけどね。

さてさて、今回の記事は貴方のお役に立てましたでしょうか...。

▼ iOS 版
Ingress
カテゴリ: ゲーム
販売元: Google, Inc.
価格: 無料

▼ Android 版
Ingress
NianticLabs@Google
価格:無料 平均評価:4.3(161,777 件)


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