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【本紙前ソウル支局長起訴】
日韓関係の改善に冷や水 遠ざかるAPECでの首脳会談…
加藤達也前ソウル支局長の在宅起訴は、改善に向けて動き始めたかにみえた日韓関係に冷や水を浴びせた。安倍晋三首相は、朴槿恵(パク・クネ)大統領との首脳会談に繰り返し意欲をみせてきたが、韓国側の対日姿勢はかたくななままであることが明白となった。首相が目指す11月の北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での日韓首脳会談実現への道のりは遠いといえそうだ。
政府は今回、「内政干渉」と韓国側に反撃されることを念頭に、神経質なほど「抗議」という言葉自体を避けている。それでも、城内実外務副大臣は9日の記者会見で「事実上の抗議に近い形だ」と述べ、政府として今回の事態を看過できない立場を強調した。
日韓は8、9月に2カ月連続で岸田文雄外相と尹(ユン)炳(ビョン)世(セ)外相の会談を行い、今月1日には都内で外務次官級の「戦略対話」を1年9カ月ぶりに開催、ハイレベルの対話の機会を増やしてきた。9月には森喜朗元首相が訪韓し、朴大統領に首相の親書を渡した。
政府は、外相会談や次官級対話などの場で、加藤前支局長のコラムをめぐる問題を必ず取り上げ、慎重な対応を求めてきた。だが、韓国側は日本政府の再三の訴えや、国際社会の強い懸念を無視するように在宅起訴に出た。
外務省の伊原純一アジア大洋州局長から呼び出された金(キム)元(ウォン)辰(ジン)駐日韓国公使は、在宅起訴が日韓関係全体に与える影響について「無関係だ」と強調した。