最大の思い出は「兄とツールのポディウムに立ったこと」アンディ・シュレクが現役引退を発表 負傷したひざが回復せず
トレック ファクトリーレーシングに所属するアンディ・シュレク(ルクセンブルク)が10月9日に記者会見を行い、現役引退を発表した。2010年ツール・ド・フランス総合優勝、2009年リエージュ~バストーニュ~リエージュ優勝など数々の栄光に輝いた一方で、近年はけがに泣かされ、29歳にしてキャリアの幕を閉じることになった。
アンディは今年7月のツール・ド・フランスに、兄のフランク・シュレクのアシストとして出場したが、第3ステージで落車に巻き込まれひざを負傷。膝蓋靭帯の断裂と診断され、翌日の第4ステージには出走せずリタイアしていた。以降、レース活動は行わず、負傷箇所の回復に努めてきたが、完治には至らないと判断。引退の決断を下すこととなった。
会見では、ツールでの落車が引退を決める直接の理由であることを認め、「靭帯の損傷により、膝蓋骨付近の軟骨がほとんどない状態である」と説明。回復を目指す間は、スペイン・マヨルカ島でリハビリを行っていたものの、3~4時間のライドを行うとひざが痛み出す状態だったことも明かした。
サイクリングへの思いを問われ、思わず涙をこらえるシーンも。キャリアを通じて多くの友人に恵まれたと述べ、いくつもある“良き思い出”の中でも「フランクと一緒にパリでツールのポディウムに上がったこと」を筆頭に挙げた。
今後については未定。それでも今シーズ途中に引退したチームメート、イェンス・フォイクトを引き合いに出し、「イェンスのように42歳で引退するわけではなく、まだ30歳前だ。やることはたくさんある」と前向きなコメント。何より「息子のテオが生まれた時に、生活のなかで自転車よりも大切なことがあると気付いた」とし、今後は家族との時間も楽しみたいと話した。
父のジョニー氏、兄のフランクと、自転車一家に育ち、19歳でプロデビューしたアンディ。早くから非凡な走りを見せ、将来を嘱望され続けたロードレース界の貴公子が、静かにキャリアを終える。
(文・福光俊介 写真・砂田弓弦)
アンディ・シュレクの主な競技成績
■ツール・ド・フランス
総合優勝(2010年)
総合2位(2009、2011年)
新人賞(2008~2010年)
ステージ通算3勝
※2010年は総合2位でレースを終えたが、その後に1位の選手がドーピング違反で失格し、繰り上がり優勝となった
■リエージュ・バストーニュ・リエージュ優勝(2009年)
■ジロ・デ・イタリア
総合2位、新人賞(2007年)