銀行解体が目標-米大物ITベンチャー投資家の大いなる野望
10月8日(ブルームバーグ):ツイッター、フェイスブック、エアビーアンドビー。42億ドル(約4530億円)の資金を擁する米シリコンバレー屈指のベンチャーキャピタル会社アンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者、マーク・アンドリーセン氏はこういった企業を支援してきた。
アンドリーセン氏が最近取り組んでいるプロジェクトは、金融システムの大転換だ。ブルームバーグ・マーケッツ誌はカリフォルニア州メンロパークの同社本社で同氏にインタビューした。
「われわれにはシステムをつくり変えるチャンスがある。金融取引はただの数字であり、単なる情報に過ぎない。オンライン決済の能力を持つために、10万人の人員やマンハッタンの高級不動産、1970年代のメーンフレームコンピューターが詰まった巨大なデータセンターは必要ない」
「現在はこういった金融ビジネスを以前と同じ方法で一から生み出すわけではない。私にとってこれは銀行を解体するということだ。監督当局が銀行を規制するなら、銀行ができないことをするノンバンクが現れるだろう。銀行規制は裏目に出る傾向があり、それは最近では個人向け融資が解体しつつあることを意味する」
古きを捨て新しきを得よ「われわれが後退することはないだろう。以前より良い方法で物事を始めたら、古い方法がどうだったかは重要ではなくなる」
「見込み客と話をする融資担当者というシナリオについて考えてみよう。ソフトウエア業界の人間からすると、これは怪しげな宗教みたいだ。誰かとテーブルで向い合せに座れば、その人の性格を読み取れるという考え方はナンセンスそのものだ」
「多くの業界で同様に変革が進んでいる。これまでは質的アプローチだったが、今では量的アプローチになっている。質的アプローチで育った人はすべて量的アプローチを嫌い、大きな脅威だと考えている」
「消費者の行動をめぐるデータソースを使って信用度を予想できるという考え方がシリコンバレーで広がっている。これは非常に不正確でタイムラグがあった従来の信用格付け方法とは全く異なっている。ペイパル はeベイ の購入履歴に基づいて数千分の1秒でリアルタイムの信用度の点数をはじき出せる。それは米国で信用度の点数化に使われているデータより情報源として優れていることが分かっている」
暗号通貨「革新的な技術を追求する新興企業は、既存のシステムの範囲内で仕事をしていない。これが暗号通貨の現象だ。これが機能すれば、全ての金融システムを中央集権的なシステムではなく分散型システムとしてリセットすることができる。われわれはすべてをつくり変えられる」
「ビットコインは明らかにこの範ちゅうに入る。ビットコインがあれば商取引の実施のために金融システムを脱中央集権化するメリットがある。例えば4カ国以外の全ての国で支払いができるなら、ビットコインは1日目から世界中で使うことができる。さまざまな通貨や銀行システムが存在することなどどうでもいい。ビットコインは本当の意味でユニバーサルな決済方法だ」
「それは大幅に手数料を引き下げるチャンスがあることも意味する。大半の消費者の取引には3%の手数料がかかる。送金手数料は最高10%に上り、これは道徳上の犯罪だと思う。こういった手数料をなくす大きなチャンスがある」
(ブルームバーグ・ニュースとブルームバーグ・マーケッツ誌の親会社ブルームバーグ・エル・ピーは、アンドリーセン・ホロウィッツに出資している)
原題:Andreessen Aims to Disrupt Financial Industry in Vow toChange(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ポートランド Anthony Effinger aeffinger@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Daniel Ferrara dferrara5@bloomberg.netJoel Weber
更新日時: 2014/10/08 09:47 JST