来月に中国・広東省の珠海で開催されるエアショーへの参加に向けて準備を進めてきた韓国空軍の特殊飛行チーム「ブラックイーグルス」に対し、米国が「訓練機のT50に使用されている技術が中国に流出する恐れがある」として韓国に参加の見合わせを求めていることが分かった。ブラックイーグルスは韓国製の超音速訓練機T50により構成されている。このT50は韓国航空宇宙産業(KAI)が製造した訓練機だが、米ロッキードマーチン社から技術支援を受けているため、輸出するには米国の承認が必要となる上、敵性国に向けて飛行する場合は米国の了解を得なければならない。
韓国政府筋は8日「空軍特殊飛行チームのブラックイーグルスは来月中国で開催される珠海エアショーに参加するため、かなり前から準備を進めてきた。ところが最近になって米国がブラックイーグルスの参加に待ったをかけてきた」と明らかにした。ブラックイーグルスによる今回のエアショー参加は韓中両国の軍事交流強化を目的に進められたものであり、今年7月に行われた第4回韓中国防戦略対話で合意したものだ。この戦略対話には韓国国防部(省に相当)の白承周(ペク・スンジュ)次官と中国人民解放軍の王冠中・副総参謀長が出席していた。米国はブラックイーグルスが中国に滞在する間に、T50の技術や部品が中国側に流出する恐れがあるとして懸念を伝えてきたという。
これに対し、韓国国内からは「今回は武器輸出ではなくデモンストレーション飛行であるため、米国の反応は神経質すぎる」との指摘が出ている。ある韓国軍関係者は「韓米協議を通じてしっかりと解決できると思う。ブラックイーグルスは今もエアショーへの参加を前提に準備を進めている」と述べた。今回のエアショーは広東省の珠海で2年に1回開催される中国の代表的なエアショーで、これまでも最新型の無人機や攻撃用ヘリなど、さまざまな新兵器の初公開が行われてきた。世界各国の企業がこのエアショーに参加しているが、米国と欧州の防衛関連企業は参加していない。