泉南アスベスト:健康被害、国の責任認める 最高裁初判断

毎日新聞 2014年10月09日 15時15分(最終更新 10月09日 15時53分)

泉南アスベスト訴訟で国の責任を認める最高裁判決に「勝訴」を知らせる原告弁護団ら=東京都千代田区の最高裁判所前で2014年10月9日午後3時7分、宮間俊樹撮影
泉南アスベスト訴訟で国の責任を認める最高裁判決に「勝訴」を知らせる原告弁護団ら=東京都千代田区の最高裁判所前で2014年10月9日午後3時7分、宮間俊樹撮影

 大阪南部の泉南地域のアスベスト(石綿)工場の元従業員とその遺族89人が、肺がんなどの健康被害の賠償を国に求めた2件の集団訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は9日、規制の権限を行使せず安全対策を怠った国の対応は違法とする判決を言い渡した。アスベストの健康被害を巡って最高裁が国の責任を認めたのは初めて。全国で続く同種訴訟に影響を与えそうだ。

 元従業員側が1陣と2陣に分かれて提訴、1審の大阪地裁ではいずれも勝訴したが、2審の大阪高裁では国の責任の有無について判断が分かれていた。

 健康被害を防ぐための規制権限を国が適切に行使したかどうかが争点だった。元従業員側は、アスベストの有害性は1950年代後半までには明らかだったのに、国は適切な規制を怠ったと主張。工場内の粉じん排気装置の設置義務化が71年まで遅れたのは違法だとした。一方、国側は、規制は適切な時期に実施してきたと反論していた。【川名壮志】

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