遺品のカメラ、「帰宅」の夜だけなぜか写真が…
55人が死亡した
火山灰にまみれたカメラ、噴石で穴が開いたリュックサック……。かけがえのない家族と最期まで共にあった品々に、遺族は面影を重ね、思いを継ごうとしている。
◆「父の思い出」
その赤いデジタルカメラは火山灰がこびりつき、白くなっていた。
ボランティアグループの仲間5人と御嶽山へ出かけ、亡くなった長野県松本市の無職若林和男さん(66)が最近買ったばかりのカメラ。登山や釣りなどに出かけては風景を写真に収めるのが大好きで、次女(34)は「御嶽の自然を撮るのも楽しみにしていたようだ」と話す。
若林さんは今月1日夜、カメラと共に無言の帰宅をした。カメラは修理が困難なほど壊れていたが、その夜だけ、中に残る撮影済みの写真を、なぜか見ることができた。
御嶽の景色や一緒に登った仲間の笑顔、登山前に撮った孫の顔――。若林さんが愛したものが、そこに数多く収められていた。