■本の多様性をもっと知って
『誰にでもできる職務質問』『クリーム・パン式単語暗記法』『ドリル大全』……。社会評論社に勤める編集者で「珍書プロデューサー」を自任する著者が、2000年以降に出版された書籍100万冊以上を調べて珍書を厳選、その魅力をまとめた。
「僕にとって珍書とは、ウケ狙いも一部あるけど、これが好き!という純粋な思いから真面目に書かれたもので、結果的に変な本。その意味でこの本も“イグノーベル書”ってタイトルにしたかったくらい」
珍書と出合う確率は「約1%」。外国人向けタトゥー用の当て字を紹介した『漢字で書く「欧米男子の名前・550例」』には「この発想はなかった」と悔しい思いをした。図鑑から学術書、エログロまで、収録した本の多くは入手困難だが、11月に東京・吉祥寺のBOOKSルーエで珍書フェアを実施することが決まった。
「取り上げた珍書は買ってまで欲しいかと言われると疑問(笑)。フェアではもっと手に取りやすい“ベター珍書”を並べるつもりです」
昔から流行を追うのは嫌い。10代の多感な時期をチュニジアや英国で過ごし、稀覯本(きこうぼん)を面白がって読んだ。その体験が珍書に対する嗅覚(きゅうかく)に影響しているかもと笑う。自身の手がけた新刊『絶対に解けない受験世界史 悪問・難問・奇問・出題ミス集』(稲田義智著)も間違いなく珍書だ。
「珍書の中にはユニークな研究書も多い。学問はニッチな分野で研究を積み重ねて成り立つもの。マニアックなところにすごい本がたくさんあります。本の多様性をもっと知ってほしい。愉快犯的にやってる部分もあるけど、根は真面目なんです」
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中公新書ラクレ・864円