【ニューヨーク=稲井創一】米IBMは8日、人工知能型コンピューター「ワトソン」の日本語対応版をソフトバンクと共同で開発し、2015年にも事業展開する方針を明らかにした。ロボット分野でも関係を深める。次世代IT(情報技術)である人工知能コンピューターの活用に弾みがつきそうだ。
IBMは8日、米ニューヨークでIBMワトソングループ・グローバル本部の開所式を開いた。ワトソン事業を担当するマイク・ローディン氏は講演で「ワトソンの多言語化を進めており、日本語対応の基盤をソフトバンクと共同開発している」と語った。
ワトソンは情報が爆発的に増えるビッグデータ時代に、膨大な情報を分析し経営判断の前提となる選択肢の絞り込みなどに機能を発揮するとされる。人間の脳のように経験から学ぶこともできる。現在、ワトソンの対応言語は英語のみ。今後は日本語、スペイン語、ポルトガル語の対応を優先的に進める。IBMは日本語版の開発で、ソフトバンクと組んで翻訳やデータ出入力といった日本語にかかわるシステム基盤を構築する。
ローディン氏はソフトバンクとロボット分野で協業するとも語った。人工知能コンピューター技術をソフトバンクが手掛けるパーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」に活用範囲を拡大するとみられる。
IBMは1月にワトソンへの10億ドル(約1080億円)に上る投資や2000人規模の専門部隊の設置を発表した。ワトソンのグローバル本部には顧客がワトソンを体験できる施設もつくり、IBMの新たな戦略拠点に位置づける。8日の式典に出席したバージニア・ロメッティ最高経営責任者(CEO)は「顧客が正しいときに正しい判断ができるように、ワトソンは貢献できる」と話し、ワトソンの競争力を強調した。
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