バンダイナムコゲームスが3次元のコンピューターグラフィックス(CG)を駆使して開発した最新コンテンツ「サマーレッスン」。ヘッドマウントディスプレー(HMD)を装着した利用者が家庭教師になり、仮想現実(VR)の世界で女子高生とコミュニケーションをとるというものだ。ゲーム見本市「東京ゲームショウ」(TGS、9月18~21日)で初お披露目する予定だったが、海外などで賛否両論が巻き起こった。会場での混乱を避けるためバンナムは急きょ公開を中止。なぜ「問題作」を作ってまでVRに挑もうとしたのか。開発者へのインタビューからその真意を探った。
■飛び込んだ6畳の部屋、振り向くとそこに…
HMDを装着すると、目の前に広がっていたのは6畳の部屋。あたりを見渡す。ペンやノートで散らかった勉強机と本棚、そしてベッド。床に転がったサメのぬいぐるみ。部屋の主は女の子だと気づく。
「先生!」。後ろから呼びかけられ振り向くと、半袖の制服を着た女子高生がいた。プレーヤーは家庭教師で、彼女は生徒。部屋に入ってきて、目の前のイスに腰掛ける。黒髪のポニーテールで、ソフトボール部に所属する。名前はわからない。「きょうもちゃんと教えて下さいね」。目の前には「Yes」と「No」の選択肢。深くうなずくと「Yes」、横に首を振ると「No」を選べる。
こんな問いかけの繰り返しで女子高生とのコミュニケーションが進むのがサマーレッスンだ。選択に応じてしぐさやコメントが変わる。このため次は何が起きるのか、その質問の意図は何なのかなどが気になり、緊張感に包まれて冷や汗をかいてしまった。すると彼女は「部活に行かなくちゃ!」と慌て始める。最後はちょっとしたサプライズが起きて目が覚める、不思議な約5分のVR体験だった。
「ゲームのあり方が大きく変わる。久々にワクワクしている」。開発を主導した原田勝弘チーフプロデューサーは興奮気味に話す。原田氏は人気格闘ゲーム「鉄拳」シリーズの開発者として知られるゲームクリエイターだ。サマーレッスンは原田氏率いる鉄拳チームを中心に10人程度のメンバーが集まり、3月からの2カ月間で一気に作り上げた。
「理解できない」「いかがわしい」「非常識」――。9月1日にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のグループ会社が開いた記者発表で初披露されると、メディアが過敏に反応。とりわけ、海外で厳しい批判を浴びた。実際のゲーム画面とは別に制作したプロモーションビデオで女子高生の胸元やスカートを強調してしまったことから、原田氏は「内容が少し誤解されて広まっている」と苦笑いする。
原田氏がサマーレッスンを開発したきっかけは、HMDという新しいデバイスの理解者がまだまだ少なく普及のネックになっていると感じたためだ。HMD向けのコンテンツはこれまでのゲーム体験と何が違うのか。まず、HMDでは自分の周囲全体がゲーム画面になる。従来はディスプレーの中にしかゲーム画面がなかった。3D音響技術により、音や声のする方向までも再現できる。振り向いたり見上げたりして前後左右が入れ替わっても、頭部の動きをセンサーで検知して対応する。原田氏は「テクノロジーの結晶」と胸を張る。
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