ファン裾野拡大へ奔走 ギラヴァンツ北九州、横手敏夫社長(69) [福岡県]
前節は最下位の富山と引き分けに終わったサッカーJ2のギラヴァンツ北九州。サポーターを大切にすることが身上の横手敏夫社長(69)に、チームの軌跡や今後の展望を聞いた。
-本城陸上競技場での試合前、ギラヴァンツ、相手チームの双方のスタンドであいさつをしている。
「来場者に感謝の気持ちを伝えたくて、5月末から、ホームゲームの毎試合で行っている。地元ファンはもちろん、遠路はるばる北九州まで来てくれたアウェーのお客さんにも、おもてなしをしたかった」
-相手サポーターの反応は。
「敵チームなので、あいさつを始めたときは驚かれる。しかし、あいさつが終わったときには拍手してもらっているし、反応は上々。お客さんを大切にし、サッカーファン全体の裾野を広げたい」
-昨季はホームゲーム1試合当たりの平均観客数がJリーグ最下位の3175人だった。観客増に向けた取り組みは。
「2年前から、北九州市の区民を無料招待する『区民感謝デー』を実施しており、今年からは遠賀地区の住民を招待する『フレンドリータウン』も始めた。今季はチームが好調で、各自治体の反応も良く、期待が高まっている。地元の皆さんに、もっと気軽に足を運んでいただければと思っている」
-手応えは。
「今年は、九州ダービーや有力なチームとの試合で雨が多く、(期待ほど入場者が伸びず)残念。それでも、ここまで1試合平均で3500人以上が入っており、徐々に観客増につながっている」
-もともとは、物流大手の山九(東京)のサラリーマンで、北九州市で過ごした。チームの社長就任の経緯は。
「約40年の会社勤めを経て、孫を相手にのんびり過ごそうと思っていた2008年秋、北九州商工会議所を通じて(ギラヴァンツの前身の)ニューウェーブ北九州の社長就任を打診された。それまで、サッカーには強い興味はなかったが、生まれ育った北九州のために、地域のシンボルとなるプロスポーツクラブを誕生させたいという思いを強めた」
-チームは現在4位と好調だ。
「16位だった昨季と比べても、今季は予想を上回る勢いだ。新加入した選手たちの活躍が目覚ましい。若手選手の成長も著しく、ベテラン勢がそれをうまく支えている。ただ、勝った試合も、圧倒的な強さで勝っている訳ではない。しっかり守って、少ないチャンスをものにしているということ。現在16勝のうち、12勝が1点差というデータがそれを示している」
-新スタジアムの建設も現実味を帯びてきた。
「本城は練習や試合の環境が良いとはいえず、新スタジアムは長年の悲願。よりギラヴァンツの魅力が増すと思うので、チームの実力を高めていかなければ」
-サポーターに一言。
「温かい地元の声援が、接戦をものにできる原動力になっていると確信している。新スタジアムを楽しみに待ちながら、チームの成長を見守り続けてほしい」
=2014/10/09付 西日本新聞朝刊=