誠にお恥ずかしい限りなのだが、当館の職員の大半が、当館から駅までの、あるいは当館までバスで来るためのルートや時間を調べる事ができない。バス停の場所すら知らない。お客さんからバスについて問い合わせがあっても、自分の言葉で答える事ができない。理由は、自分がバスなど全く乗らないからである。
首都圏や札幌に在住の人ならば、バスは身近な交通機関である。だが、帯広の人は本当にバスに乗らない。その比率は驚くべきほどである。最近、黒字を達成した十勝バスが、その方法のひとつとしてバスの乗り方講座をしたという新聞記事があったが、実際にどうやって乗ったら良いのかわからない人が大半なのである。
これはもちろん理由があり、不便だからである。ただ、この不便さには条件が付く。少なくとも当館に関する限り、道東という交通事情の中から見るとバスの便はかなり良い方だ。最寄りのバス停へは平日には1時間に2本、少し離れたバス停ならば2つのバス会社の便があって1時間に3-4本が運行している。神奈川県横浜の私の生家のバスでさえ1時間に2本なのだから、もっと便利だと言う事もできる。
帯広の人がバスに乗らないのは、自家用車で好きな時に好きな場所へ行ける、という事と比較しての不便さである。それだけ車社会が成熟しているという事だ。都会に比べ行動範囲の距離が必然的に広くなるので、これ自体は悪い事ではない。十勝で暮らすという事はそういう事なのだと思う。
だが、当館のような公共施設に勤務する役人の場合は話がまったく別である。博物館は多くの人に足を運んでもらうための施設であって、その中には車を運転できない方も当然含まれる。遠方から旅行で来られる方もいる。そうした人達に対して、近くをバスが運行しているにも関わらずその案内ができないというのは、公共施設の役人として言語道断に不勉強で恥ずかしい事だと私は思う。
だが、その原因を作ってしまったのは私かもしれない。これまで、館内でバスの問い合わせがあると私が回答していた。ダイヤ改正や運賃改定がある際の資料も私が用意していた。私に回せばなんとかなる、という思いが館に定着してしまった感がある。これは私の対応のまずさだったかなと思う。
なので本日をもって、私は路線バスに関する回答を原則受けない事にした。これからは自分たちで勉強しろ、まずは最寄りのバス停まで足を運んで場所とルートを確かめ、その後は実際に駅までバスで往復してみてみるように、と全体の打ち合わせで公言した。実際に彼らがそうするかどうかはわからないが、こうして突き放さないといつまでも私に甘えて自ら学ぼうとしない事は明白だからである。
ところで、生活上バスを利用していない役人たちにバスでの行き方、利用の仕方を学べというのは、本来は業務であるはずである。私は勝手に「自分で学べ」と言ったが、実はこの部分が本当はひっかかっている。労働運動の観点からは、勤務館へのバスの使い方は、本来は業務として、すなわち研修として実施するべきだと思う。
これは百年記念館に限らない。帯広市は本庁勤務の者も含め、積極的にバスの使い方を学ばせるべきで、そのための研修を公的に実施すべきである。だいたい米沢市長や八鍬教育長はバスに乗った事があるのか?市長はともかく、教育長や生涯学習部長なども、当館へ来る時はいちどは路線バスを利用して来てもらいたい。そして実際のルートやバス停の位置を知り、問題点などを実感してもらいたい。フードバレーと路線バス問題は、地方農村に共通する課題だと私は思っている。ぜひ考えて欲しい、と今度直談判しようと思う。
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