アップルにサファイアを提供する筈だったGTアドバンスト・テクノロジーズ(ティッカーシンボル:GTAT)が月曜日に連邦倒産法第11条による倒産を申請しました。
普通、ある上場企業が倒産する前には株価はそれを織り込み、一桁台に下がります。しかしGTアドバンスト・テクノロジーズの場合、高値から株価が押していたとはいえ、倒産を連想させるような水準では全然ありませんでした。

「寝耳に水」の倒産。
一体、何が起こったのでしょうか?
今回の事件の発端は、去年の冬に遡ります。アップルはGTに対して5.78億ドルを「前払い金(prepayment)」として融通します。
このお金はサファイア増殖装置を購入するための代金です。
アップルはアリゾナ州に自社の工場を持っているのですが、その工場のスペースをGTにリースし、GTは購入したサファイア製造装置をそこへ搬入して生産を開始しました。
5.78億ドルの前払い金は保証付き債務(secured debt)であり、その担保はサファイア製造装置でした。さらにサファイア生産にまつわるノウハウなどの知的所有権(intellectual properties)も保証権利行使する場合は、アップルに帰属するという契約でした。
GTからアップルへの借金の返済は、現金によるのではなく、サファイアの現物を納めることでなされる契約でした。

ところがサファイアは単結晶で増殖が難しく、サファイア製造装置を使いこなせなければ検査に合格する品質で、大量のサファイアを生産することは出来ません。
「GTの歩留りに……何か問題があるのではないか?」
そういう不吉な噂が出ていました。
アップルとしては、当初、iPhone 6のスクリーンにサファイアを採用したかったのだと思います。そうじゃなきゃ、こんなに大がかりな装置をGTにわざわざ買わせるための前払い金など用立てする筈ないからです。
しかしGTは期日までに安定的にサファイアを生産出来ず、結局、iPhone 6のお披露目ではサファイア・スクリーンは採用されませんでした。アップル・イベントの発表では、「来年出荷予定のApple Watchにはサファイアが採用される」というものでした。
Apple Watchのスクリーン面積はiPhone 6のそれより遥かに小さいですし、出荷台数も少ないと思われます。だからこの発表は、関係者にとって大きな落胆でした。
問題は、iPhone 6にサファイアを搭載しないということは、サファイアそのものが必要でなくなることを意味し、現物を納めることで借金を返す、この契約そのものが履行不可能になったということです。
結局、アップルはGTが購入したサファイア製造装置を差し押さえし、直接自社で保有することになると思います。つまりGTという会社が消え、限りなく無用の長物と化すリスクのある、馬鹿デカいサファイア製造装置だけが残った……ということになるわけです。
GTAT株はここ2日ほど騰がっていますが、投資家が気を付けなければいけないことは、同社株には沢山のショート筋が乗っており、彼らが勝利の空売りポジションのケツ入れをしているのが、買い注文の大部分だということです。
株としては、終わっています。
普通、ある上場企業が倒産する前には株価はそれを織り込み、一桁台に下がります。しかしGTアドバンスト・テクノロジーズの場合、高値から株価が押していたとはいえ、倒産を連想させるような水準では全然ありませんでした。
「寝耳に水」の倒産。
一体、何が起こったのでしょうか?
今回の事件の発端は、去年の冬に遡ります。アップルはGTに対して5.78億ドルを「前払い金(prepayment)」として融通します。
このお金はサファイア増殖装置を購入するための代金です。
アップルはアリゾナ州に自社の工場を持っているのですが、その工場のスペースをGTにリースし、GTは購入したサファイア製造装置をそこへ搬入して生産を開始しました。
5.78億ドルの前払い金は保証付き債務(secured debt)であり、その担保はサファイア製造装置でした。さらにサファイア生産にまつわるノウハウなどの知的所有権(intellectual properties)も保証権利行使する場合は、アップルに帰属するという契約でした。
GTからアップルへの借金の返済は、現金によるのではなく、サファイアの現物を納めることでなされる契約でした。
ところがサファイアは単結晶で増殖が難しく、サファイア製造装置を使いこなせなければ検査に合格する品質で、大量のサファイアを生産することは出来ません。
「GTの歩留りに……何か問題があるのではないか?」
そういう不吉な噂が出ていました。
アップルとしては、当初、iPhone 6のスクリーンにサファイアを採用したかったのだと思います。そうじゃなきゃ、こんなに大がかりな装置をGTにわざわざ買わせるための前払い金など用立てする筈ないからです。
しかしGTは期日までに安定的にサファイアを生産出来ず、結局、iPhone 6のお披露目ではサファイア・スクリーンは採用されませんでした。アップル・イベントの発表では、「来年出荷予定のApple Watchにはサファイアが採用される」というものでした。
Apple Watchのスクリーン面積はiPhone 6のそれより遥かに小さいですし、出荷台数も少ないと思われます。だからこの発表は、関係者にとって大きな落胆でした。
問題は、iPhone 6にサファイアを搭載しないということは、サファイアそのものが必要でなくなることを意味し、現物を納めることで借金を返す、この契約そのものが履行不可能になったということです。
結局、アップルはGTが購入したサファイア製造装置を差し押さえし、直接自社で保有することになると思います。つまりGTという会社が消え、限りなく無用の長物と化すリスクのある、馬鹿デカいサファイア製造装置だけが残った……ということになるわけです。
GTAT株はここ2日ほど騰がっていますが、投資家が気を付けなければいけないことは、同社株には沢山のショート筋が乗っており、彼らが勝利の空売りポジションのケツ入れをしているのが、買い注文の大部分だということです。
株としては、終わっています。