ハーグ=三浦英之
2014年10月8日22時35分
2007年の大統領選に伴う暴動をめぐり、人道に対する罪などに問われているケニアのケニヤッタ大統領は8日、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)で開かれた本格審理前の協議に出廷した。現職首脳のICC出廷は初めて。強大な権力を持つ首脳を、どこまで裁くことができるのかが注目される。
ICCは虐殺や人道に対する罪を犯した個人を訴追・処罰するための常設裁判所。ケニアでは07年の大統領選の際に与野党の抗争が起き、1100人以上が死亡、60万人以上が住居を追われたとされる。ICCは12年1月、暴動を背後で指示していたとして、ケニヤッタ氏を殺人や人道に対する罪などで起訴した。ケニヤッタ氏は同国初代大統領の息子。昨年の選挙で大統領に当選した。
検察側は8日の協議で、ケニア政府による証拠提出の拒否のため、裁判が行き詰まっていると主張。弁護側は裁判を終わらせ、ケニヤッタ氏に無実を宣言するよう求めた。
この裁判は、証言や物証が集まりきっていないことなどから、開廷がたびたび延期された。大統領支持派による証人やその家族への脅迫や買収が常態化しているとされ、国際人権団体は「証人が身の安全を保証され、報復を恐れることなく証言できることが必要不可欠だ」と指摘していた。
一方、ケニアから訪れた100人以上の国会議員らは8日、民族衣装などに身を包んでICCの前でケニヤッタ氏の無実を訴えた。ケニアから駆け付けた議員の一人は「ケニヤッタ氏は第2のネルソン・マンデラだ。我々は白人支配に抵抗し、戦い抜く」。オランダで大学に通うマディング・モハヘさん(32)は「ICCはアフリカ人を狙って捜査している。イラクやガザで白人はどれだけ人を殺しているのか。まずそれを裁くべきだ」と批判した。
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朝日新聞国際報道部
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