単一施設でのロボット支援子宮摘出手術を行う医師ら(4月、米ロサンゼルス) REUTERS

 ロボット支援による手術の価値を問う最新の調査で、コロンビア大学の研究者らは、ロボット手術の費用が通常より著しくかさむほか、卵巣や卵巣嚢胞の摘出術については、従来の身体への影響の少ない低侵襲手術と比べ、合併症の発生率が高いという所見を発表した。

 同じ研究者らが昨年、ロボット支援の子宮摘出術が通常の腹腔(ふくくう)鏡による手術と比べ費用がかかるが、術後の転帰は同じだと発表した。これとは別に7月に発表された小規模な調査では、ぼうこうがんのロボット手術は合併症を減らすという点で腹腔鏡による手術と結果が変わらないことが明らかになった。

 コロンビア大学の婦人科腫瘍学担当責任者ジェイソン・ライト氏は、「新しければ新しいほど良いという考え方が広く浸透しているが、われわれの所見はこれに疑問を投げかける。高額な技術を利用することが患者にとって本当に得なのか、一度立ち止まって批判的に分析してみる必要がある」と述べた。同氏は専門誌「オブステトリクス&ガイネコロジー(産科・婦人科)」に7日掲載されたこの調査の論文の主幹執筆者。

 ロボット手術を支持する向きは、手術部位の切開が最小限で済む上、失血、痛み、術後の痛み止めの投薬が従来の切開手術より少なく、術後の回復期間や入院期間が短縮されると主張する。一方、専門家は、ロボット手術に不可欠な技術、訓練、メンテナンスへの追加投資を不要とする通常の腹腔鏡による手術でも同じ利点があると指摘する。

 これらの調査で対象となったのは、米インテュイティブサージカル  ISRG +1.57% Intuitive Surgical Inc. U.S.: Nasdaq $489.85 +7.59 +1.57% 2014 年 10 月 8 日 16:00 出来高 (遅延15分) : 336,093 時間外取引 $486.83 -3.02 -0.62% 2014 年 10 月 8 日 16:11 出来高 (遅延15分) : 6,283 PER 39.50 時価総額 $173.38億 配当利回り N/A 従業員当たり売上高 $734,993 10/07/14 Robotic Surgery Brings Higher ... 08/04/14 Hospitals Cash In on the Newly... 07/23/14 Surgical Robot Fails to Show A... 詳細の株式情報とニュース » (カリフォルニア州サニーベール)が製造する「ダ・ヴィンチ・サージカルシステム」という医療用ロボットだ。同社はこのロボットを医師や患者が選ぶのは「合併症がほとんどなく、入院期間が短いためだ」と説明。この技術が「かなり複雑な疾患でリスク要因の高い」患者に使われることが多いが、それを最新の調査では考慮に入れていないと指摘した。

 ダ・ヴィンチの価格は200万ドル(約2億1700万円)。この技術の安全性や費用対効果への懸念が浮上したことで、このロボットの販売に過去1年で影響が出ている。インテュイティブサージカルは4四半期連続で減益が続く。4-6月期の純利益は1億0400万ドルと前年同期の1億5910万ドルから減少し、売上高は同11%減の5億1220万ドルとなった。

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