ハマスは、これからヨルダンに在住するパレスチナ系住民に対する働きかけを強めると思う。現在のヨルダン王室はイスラエルと良好な関係を維持している。ヨルダン王室はイスラエルの手先であるという煽動(せんどう)工作を強化して、王制の転覆を図ると思う。ヨルダンの王制が転覆すれば、サウジアラビア、アラブ首長国連邦など湾岸の王制が動揺する。その機会に乗じて、ハマスはISと提携して、中東に世界イスラーム革命を輸出する拠点国家を建設しようとする。ハマスやISは、中東における撹乱(かくらん)要因で国際秩序の破壊者だ。今回のイスラエルとの無期停戦をハマスが悪用して、国境を越えたテロ活動に従事することを防ぐべく国際社会は監視の目を強めなくてはならない。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)