大規模な信用拡大に続き、危機が訪れ、その後の対応に追われるというのが世界経済の習い性となった。現在は、7年前に襲った危機から米国と英国が脱却しつつあるようだ。その一方でユーロ圏は危機後の停滞から抜け出せず、中国は2008年の危機後の輸出収入の減少を埋め合わせるために膨らんだ債務に苦しんでいる。
■信用ブームの崩壊、ついに中国へ
持続不可能な信用ブームが世界のどこかで起きなければ、世界経済は潜在的な供給を吸い上げる十分な需要を生み出せないように見える。まるで「信用ブーム保存の法則」があるかのようだ。この四半世紀を振り返ると、日本の信用ブームは1990年を境に崩壊し、アジア新興国の信用ブームは97年に崩壊。北大西洋地域では07年を過ぎると崩壊し、ついに中国の番が来た。
最近発表された「第16回ジュネーブ・リポート」の著者は、こうした陰鬱な仮説に立っていない。事の是非はさておき、『レバレッジの解消:どんなレバレッジ解消か?(Deleveraging: What Deleveraging?)』と題されたこの報告書の著者たちは、個々の信用サイクルが本質的に独立した事象だと考えている。報告書は、危機後のレバレッジ解消の限定的な性質や、ユーロ圏の苦境、中国が直面する重大な課題を明らかにしている。
■世界中で公的債務が急増
世界全体で見ると、08年以降にレバレッジの解消が進んだわけではない。高所得国を単一ブロックとして見た場合も同様だ。米英の金融セクターではレバレッジが解消され、家計部門も債務の圧縮に向かった。家計の負債は米国とユーロ圏で同程度になった。
一方、公的債務は急増した。金融危機が財政赤字の急増につながったことは、米ハーバード大のケネス・ロゴフ、カーメン・ラインハート両教授が著した『国家は破綻する――金融危機の800年(原題:This Time is Different)』の最も重要な研究成果の一つだ。危機発生以来、国内総生産(GDP)に対する公的債務の比率は英国で46ポイント、米国で40ポイント、ユーロ圏で26ポイント増えた。民間のレバレッジ解消が急速に進んだ米国でさえ、全体でみた圧縮幅は小さかった。
中国では97年以降、金融セクターを除いた全体の対GDP債務比率は72ポイント跳ね上がり220%に達した。こうした債務の急拡大は中国の成長率に、現在の予想を超える深刻な悪影響をもたらすに違いない。
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