小林未来
2014年10月8日22時39分
行動ターゲティング広告って知っていますか? ウェブ上で、ユーザーの閲覧履歴やネット通販の買い物履歴などをもとに、個人の興味や関心に連動して配信される広告です。どんな仕組みなのでしょうか。消費者はどのように向き合えばいいのでしょうか。
■「行動知られているような…」
「最近、ウェブを見ていると、転職関連の広告ばかりが目につく」。東京都内の会社員女性(41)は言う。少し前に、必要があってヘッドハンティング会社を検索したことがあった。転職する気はなかったが、広告はその後から現れるようになった。「検索履歴をもとに表示されているのはなんとなくわかる。実害はないけど、自分の行動が知られているようで気持ち悪い。うかつに検索できないと思ってしまう」と話す。
こうした広告は「行動ターゲティング広告」と呼ばれ、ここ数年で急速に広がっている。その商品やサービスに興味があると思われる人を対象に広告を配信するため、マーケティング効果が高い。消費者にとっても興味のない広告が減るメリットがある。
インターネット広告推進協議会(JIAA)によると、配信には、個別のブラウザー(インターネットエクスプローラーなどのウェブ閲覧ソフト)を識別する仕組みが応用されている。
検索サイトなら、検索したキーワードやサイト内でのページ閲覧などの情報が集まる。ページ上でネット通販の買い物をすれば、そのデータも消費履歴として集まる。ただ、他社の運営サイトで、何を閲覧したのかまでは、通常はわからない。
また、冒頭の女性のように、履歴をもとに表示される広告は、必ずしもユーザーの興味や関心と一致しない。例えば、女性が多く利用するページを見ている男性は、広告を配信する側に「ユーザーは女性」と推測され、女性向けの広告が現れることもある。
配信はページにアクセスしたとき、瞬時に機械的に行われる。JIAA担当者は「決して個人を特定して広告配信をしているわけではありません」。ただ、それがターゲティング広告なのかどうかは、ユーザー側には分からない場合がほとんどだ。
また、履歴の保存期間は事業者によって異なり、実際の配信にどの期間のデータを使うかは広告によっても違う。検索サイト大手のヤフージャパンの場合、最長2年という。
■情報利用、拒否もできる
消費者団体「全国地域婦人団体連絡協議会」の長田三紀さんはこうした広告について、「どんな情報を誰がどう利用しているのかわからず、消費者の不安は大きい。透明性を高め、不安感を除いてほしい」と話す。
消費者庁によると、閲覧履歴はそれだけでは個人を特定できない場合もあり、法律上の個人情報にあたるかはケースバイケース。このため、個人を特定しない閲覧履歴をどう扱うかは、事業者の判断に委ねられている。ただ、専門家の中にも「氏名や住所が特定されていなくても、その人のパーソナリティーを示すものなので、保護すべきだ」などの声があり、内閣官房で規制が適当か検討している。
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