2014.10.8 11:21(1/2ページ)

【ありがとう八十年(108)】長池德士、投手のくせ見破る天才はダリル・スペンサー

特集:
レジェンドが語るプロ野球史
40本塁打を放った71年のスイング

40本塁打を放った71年のスイング【拡大】

 ダリル・スペンサーが引っ張ってくれたからこそ、阪急は黄金時代を築けたのだと思います。チームだけでなく、日本球界への影響力がありました。代表は、相手投手のくせを見破ることです。

 彼に打順が回るときに相手投手が交代するとしますね。すると一度ベンチに戻ってきて、棚の横にぶら下げてあるメモ帳を見て、打席へ戻るんです。ある時、何が書いてあるんだろうと見てみると、英語がびっしり。通訳を呼んで聞いたら、対戦したことのある他球団の投手のくせでした。

 例えば、東映の尾崎行雄は、ふりかぶってグラブが頭の上で止まったとき、ボールが見えたらカーブ、見えなければ真っすぐ、とかね。教えてもらうと、よく当たるんですよ。それまで日本の打者は打つことに一生懸命で、投手のくせなんて気がつきませんでした。これもメジャーの技術ですよね。

 《ダリル・スペンサーは1929年7月13日、米カンザス州出身の内野手。ジャイアンツ、ドジャースなどでメジャー通算1098試合に出場し、打率・244、105本塁打、428打点。64年に阪急入団。68年に一度退団したが、71年に選手兼任コーチとして復帰し、72年に引退した。日本通算は731試合、打率・275、152本塁打、391打点。右投げ右打ち。85歳》

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