国際化が進むのは、法廷も例外ではない。日本語が分からない被告の刑事裁判で活躍するのが、法廷通訳人だ。

 4月現在、61言語で4千人近くが裁判所に登録している。言語によっては裁判所が確保に苦労することが珍しくない。

 全被告のうち通訳が必要になるのは26人に1人の割合(昨年の第一審段階)で、裁判員裁判では約1割に達する。

 裁判官だけの裁判と違い、裁判員裁判はほぼ連日、開廷するため、通訳人の負担が懸念されている。研究者による法廷通訳人対象のアンケートで、裁判員裁判を経験した人の8割が「負担が増えた」と答えた。

 「連日開廷で準備時間が足りない」が最も多い理由だ。裁判員裁判で弁護側が冒頭陳述や最終弁論に力を入れることと関連してか、「翻訳が必要な書類が増えた」ことも挙がっている。

 最高裁は裁判員裁判には複数の法廷通訳人をつけることも想定したが、特に基準を設けなかった。実際には1人が担うケースも少なくない。

 正確な通訳に必要な集中力が続くのは30分が限界、という研究結果もある。長期間にわたる裁判、内容が複雑な裁判などでは、通訳人を複数つけることを原則とすべきだろう。

 法廷通訳人を複数選んだ場合、裁判所はほかの人が通訳をしている間は報酬対象としないため、それぞれの報酬が激減することも起きている。

 現実には、待機中であれ法廷の流れを追うため、通訳人は法廷内にとどまっている。対価を払うのは当然ではないか。

 公平な裁判を実現するため、法廷通訳人はもはや不可欠の存在になっている。ところが、その地位や求められる資質、経験などについて明記した法律などはなく、裁判所の裁量によるところが大きい。

 しかし、通訳人として適格だったか、被告・弁護側が問題にするケースも出ている。日本弁護士連合会は、より普及している言語では試験、少数言語でもその言語を使った実績など客観的な基準を設けることを提案している。質をどう確保するか、踏み込んだ検討が必要だ。

 法廷通訳人を、裁判を支える一員としてきちんと位置づける姿勢も不可欠だ。特に報酬については、裁判所の基準があいまいで、書面の読み込みなど準備に費やす労力が評価されないといった不満が少なくない。

 法廷通訳人にかんするルールを定め、オープンにすること。それが、だれにとっても公平な裁判の実現につながる。