冷たい功利的な打算的な人間は、その自然な結果として、相手も自分と同じように考えているという無限地獄に入り込んでしまうのである。
自分の歪んだ思いで歪んだ鏡を相手に押し込んで、その鏡で自分を映すから、相手も自分と同じように見えてしまうということになる。
自分の周りのすべての人間は、信用のおけない、油断のならない人間ばかりだということになる。
職場においても社会的な社交の場でも、時には夫婦や親子でも常に相手を警戒し相手の善意も悪魔の甘いささやきのように感じてしまうのである。
そしてそこには、何の明るさもない、気まずい、ジメジメとした卑しい関係だけが、残骸のように残るのである。