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ヒトは「自分が正しい」と思うようにできている – あなたの価値観を形成する5つの”根源的”要素とは?

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ヒトは「自分が正しい」と思うようにできている – あなたの価値観を形成する5つの”根源的”要素とは?

・ジョナサン・ハイト氏は、政治におけるリベラルと保守の対立を例示しながら、人間の価値観を形成する「5つの要素」について説明します。同氏は、価値観の違いを受け入れ、「自分が正しい」という思い込みから抜け出すことが人間関係を円滑に進めるうえで重要であると語りました。(TEDより)

【スピーカー】
社会心理学者 

【動画もぜひご覧ください!】
Jonathan Haidt: The moral roots of liberals and conservatives「ジョナサン・ハイト:リベラルと保守の道徳的根源」

リベラルと保守の価値観の違い

ジョナサン・ハイト氏:アメリカ人の友人 2 人組がイタリア旅行をしているとします。ミケランジェロの『ダビデ像』を見に行き、本物と対面して 2 人とも、その場で凍りついたように立ちすくんでいます。

1 人目は、アダムとしましょう、完璧な人体の美しさに釘付けとなりました。2 人目は、ビルと呼びましょう、像の中心にあるモノを眺めて決まりの悪さで釘付けになってしまいました。

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さて、ここで質問です。2 人のどちらがジョージ・ブッシュあるいはアル・ゴアに投票したでしょう?

私たちは皆、同じ政治的固定観念を抱いているので、挙手はされなくても結構です。もちろん、ビルですよね。この場合、固定観念と現実は一致しています。リベラルのほうが保守よりも、性格特性の 1 つ「経験の開放性」が格段に高いのです。経験への開放性が高い人は目新しさ、変化、多様性、新しいアイデア、旅行を求めますが、低い人は馴染みのあるものや安全で信頼できるものを好みます

この特性を押さえておくと、人間行動の多くの謎が解けます。なぜ芸術家と会計士とこれほど異なるのか、彼らの本や好きな旅行先、食べ物の好みなどが予想できます。

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性格特性から参加するグループが決まる

この特性を理解すれば、なぜ人が Applebee’s(アメリカのファミリーレストラン・チェーン)に行くのに、自分の知り合いは行かないかがわかるでしょう。

(会場笑)

この特性は政治にも影響します。この研究の第1人者ロバート・マクレーが言うには「開放性の高い人はリベラル、進歩主義、左派的な政治的見解に親和性を持つ」、つまり開放的で変化する社会を好みます。一方、「開放性の低い人は保守的、伝統的、右派的な政治的見解を好む」のだそうです。

この特性から、人々が参加するグループの種類もわかります。こんなコミュニティを Web で見つけました。「世界をより深く理解し、その理解をより良い未来のために役立てたい人たちのための、分野や文化を問わないグローバルなコミュニティ」に参加するのはどんな人たちでしょうか。ちなみに、これを書いたのは「」という人でした。

(会場笑)

道徳的多様性への理解を深めるべき

さて、開放性からリベラルになることが推測でき、開放性から TED 参加者になることが予測できるのであれば、大抵の TED 参加者はリベラルということなのでしょうか? 聞いてみましょう。主に社会問題について、リベラルあるいは中道左派か、保守か、第 3 の選択肢として、会場に多数来ているリバタリアンか(自由主義者。個人的な自由、経済的な自由の双方を重視する)、聞いてみますよ。

いいですか、手を挙げてください。モニター室にいる方々も参加してください。では、リベラルか中道左派だと思う方は? 高く挙げてください。ありがとう。では、リバタリアンの方? オーケー、20 人前後ですね。では右寄りか保守の方はどうでしょう? 1、2、3、4、5……8 人から 10 人ですね。

さて、これはちょっと厄介です。私たちの目標が世界についての理解を深めることであれば、道徳的多様性に欠けているこの状態ではそれは難しいでしょう。価値観や道徳観を共有する人が集まると、チームが生まれます。集団心理が働くと、柔軟な思考が妨げられてしまいます。

2004 年も、2000 年の大統領選挙の時もそうでしたが、リベラル陣営は負けると、次のように考えて自らを慰めるのです(笑)。

「どうしてアメリカ国民の半分が保守陣営に投票したのか? 信仰か、単に愚かさで目がふさがれていたに違いない」と。

(会場笑)

アメリカ人の半数が共和党を投票したのは、目をくらまされていたからだとお考えなら、ある特定の道徳マトリックスにとらわれてしまっています。マトリックスとは、まさに映画『マトリックス』のようなマトリックスです。今日、ここで皆さんに選んでもらうことにしましょう。

青いピルを飲んで慰めになる妄想に浸っているか、赤いピルを飲んで道徳心理学を学び、道徳マトリックスから踏み出すか。

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私にはわかっていますが……。

(会場拍手)

聞くまでもなかったですね。どちらを選んだか尋ねようと思いましたが、手間が省けました。皆さん、開放性が高い方ばかりです。それに赤いピルのほうがおいしそうです。皆さん食通ですね。それでは、赤いピルを飲んで、道徳心理学の世界に足を踏み入れましょう。

人類が普遍的にもつ道徳心はあるのか?

初歩から始めましょう。道徳とは何か? その根源は何か? あらゆる心理学で最悪の見解は、「生まれた時に心が白紙の状態である」というものです。

発達心理学で明らかになったのは、子どもは生まれながらに物理的、社会的な世界の知識を身につけていること、また習得が容易なものと、難しいものがあるように規定されていることです。

脳科学者ゲイリー・マーカスが、今まで見た中で最良の、なるほどと思わせる「生得性」の定義をしています。「脳の初期構造はさほど経験に依存していない。生まれた時には第一項が書かれており、経験を経て改訂する。組み込まれているからと言って順応性がないわけではなく、経験に先だって構成されているということである」。

それでは道徳心の第一項とは何でしょう? 答えを探して、私は同僚のクレイグ・ジョセフと共に、人類学や道徳における文化的多様性、進化心理学の文献を読み漁りました。分野を超えて人々が語る基盤とは? 文化や種さえも超えた共通する基盤とは?

人間を形成する5 つの道徳的基盤

そして 5 つに行き当たり、それを 5 つの道徳的基盤と名付けました。

道徳的基盤の 1 つ目は「危害・ケア」です。私たちほ乳類は、神経やホルモンのプログラムによって、他者と絆を結び、他者の世話をし、特に弱者に同情するのです。危害を加える者に対しては、非常に強い感情を抱きます。TED で耳にする道徳的発言の 7 割がこれに基づいています。

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2 つ目の基盤は「公正・互恵性」です。他の動物に互恵性が認められるかについては曖昧な証拠しかないですが、人間については非常に明確です。右の絵はノーマン・ロックウェルの『黄金律』です。もちろん、カレン・アームストロング(イギリスの宗教学者)もこの基盤が主要な宗教の核心であると言っています。TED の道徳的発言の残り 3 割はこの基盤に基づいています。

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3 つ目が、「仲間集団・忠誠」です。動物界にも助け合う仲間の群れは存在しますが、全て小規模か血縁集団です。グループに参加し、協力できる巨大集団を形成するのは人間だけですが、その目的は団結して他の集団と闘うことです。これは恐らく、部族的暮らしと同族意識の長い歴史が背景にあるのでしょう。

同族意識がよっぽど心地よいのか、部族がなくなっても私たちはあえて同族集団を結成します。楽しいからです(笑)。戦争の代わりにスポーツ、セックスの代わりにポルノと、私たちは太古からの欲望を発揮しようとしているのです。

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4 つ目の基盤は「権威・尊敬」です。人間と人間に近い霊長類が服従の意を示していますが、他の霊長類と異なり、人間の権威はそれほど力や残忍性に基づくものではありません。むしろ、自発的な敬意や愛の要素に基づくものです。

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最後の基盤が「純潔・神聖」です。この絵は『貞操の寓意』と呼ばれていますが、純潔とは女性のセクシャリティの抑圧だけではありません。自分の体になす行為、体に摂取するものをコントロールすることで徳を成すことができるとするあらゆるイデオロギーや思想を指すのです。

右派が性道徳を重視するのに対して、左派は食のモラルにこだわります。最近、食のモラル化が著しいですが、その多くが自分が触れるもの、体が摂取するものに対する純潔です。

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以上の 5 つが道徳心の第一項に書かれていると思います。人間は生まれながらにこの 5 つが備わって、少なくとも学ぶ準備はできているはずです。

人によって持っている道徳的基盤が異なる

息子のマックスはリベラルな大学町で育つうちに、第一項はどう改訂されていくでしょう? ここから約 100 キロ南にあるバージニア州リンチバーグで生まれた子どもとは、どのような差が出るのでしょう?

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文化の差異について、違う例えで説明しましょう。もしも、本当に心の中で 5 つのシステムが働いているのなら、直感や感情の源が 5 つあるとしたら、道徳心はちょうど 5 チャンネルのイコライザーのようなもので、各チャンネルは別々に設定できるのです。

同僚のブライアン・ノセクとジェシー・グラハムと私はアンケートを作成し、Web 上に公開しました(www.YourMorals.org.)。

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これまでに 3 万人が回答しています。皆さんもどうぞ。こちらが結果です。アメリカ国民 23,000 人のデータです。左がリベラルのスコア、右が保守、中間が穏健派です。青い線は、危害についての質問の平均スコアを示しています。

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「危害・ケア」の問題の関心が高くなっていますね。全面的に強い支持を集めていますが、リベラルのほうが関心はやや高く、右肩下がりになっています。公正についても同様です。しかし、残りの 3 つをご覧ください。リベラルのスコアはかなり低いです。

基本的にリベラルは「いや、これは道徳じゃない。仲間集団、権威、純潔は道徳とは全く関係がない」と言っています。でも、保守的になるほど、これらのスコアは上がります。リベラルは 2 つの道徳基盤を持ち、保守はそれより多く5 つの道徳基盤を持っているわけです。

道徳論議の中心は、「仲間集団」「権威」「純潔」の3つ

国が違っても同じ傾向が見られます。これはカナダ人 1,100 人のデータです。いくつかスライドをお見せしましょう。イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、西ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ラテンアメリカ、中東、東アジアに南アジアです。

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お気づきでしょうか、どの国でも仲間集団、権威、純潔の 3 つの傾斜が急ですね。逆に言えば、どの国でも危害、公正に意見の相違はありません。もちろん、公正とは何かについては議論がありますが、危害、公正が重要という点においては皆の意見が一致しています。

文化内の道徳論議の中心は、仲間集団、権威、純潔なのです。この影響は非常に大きく、たとえ質問の仕方を変えても、結果は同じです。最近行った研究で、このような質問をしました。「犬を飼うとします。好きな品種を選び、その品種の特性を調べたところ、独立心旺盛で、飼い主を対等な友達とみなすことが分かりました。あなたはどうしますか?」。

リベラルなら「それは素晴らしい!」と言うでしょう。リベラルは「持って来て、お願い」と犬にもお願いしますからね。

(会場笑)

でも、保守派なら、そんな犬にあまり魅力を感じません。保守派は、家と飼い主にとても忠実で、知らない人を警戒する犬だと聞けば「忠実は良いことだ。犬は人間に忠実であるべきだ」と思うでしょう。

でも、リベラルなら「こいつは共和党の大統領候補者に名乗りをあげるつもりか」と思いますよね。

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秩序はやがて崩壊するという真理

皆さんはこうおっしゃるかもしれません。「なるほど、リベラルと保守に違いがあることは分かった。だが、他の 3 つの基盤が道徳である理由は? ただの外国人嫌いに、権威主義に、厳格主義の基盤ではないか? なぜこれらが道徳なのか?」と。

その答えとして、ヒエロニムス・ボス(ルネサンス期のフランドルの画家)の素晴らしい三連祭壇画『快楽の園』をお見せします。

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1 枚目は天地創造の瞬間です。全て整った美しい世界で、人も動物も在るべき場所でなすべきことをしています。

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ところが世の常で、物事は変化します。誰もがやりたい放題です。60 年代を思い出す人もいらっしゃるでしょう(笑)。

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しかし必然的に 70 年代が訪れて、これまでの報いを受けることになります。もちろん、これをヒエロニムス・ボスは「地獄」と表現しました。

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この祭壇画の 3 枚のパネルが描いているのは、秩序は崩壊するという永遠の真理です。社会は衰退するという真理です。だからと言って、これが単なる快楽を罪悪視するキリスト教的創造の産物だと思わないでください。

「共有地ジレンマ」ゲームにみる集団内での罰則の必要性

ここで同じようなストーリー展開の話を紹介しましょう。数年前の『ネイチャー』誌に載っていたもので、エルンスト・フェールとサイモン・ゲヒターが被験者に「共有地ジレンマ」ゲームをさせるというものです。

プレイヤーにお金を渡し、ラウンド毎に共有の壺に入金してもらいます。実験者は壺内の金額を 2 倍にし、最後にプレイヤーで等分するというゲームです。

犠牲を払うように要求されても、その払った犠牲に対する見返りがあまりないという点が、あらゆる環境問題の取り組みとよく似ています。他の皆には犠牲を払ってもらいたいが、誰もがただ乗りをしたいと思っています。

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その結果、ゲーム開始直後は皆、わりと協力的でした。これは全て匿名で行われます。第1ラウンドでは、皆手持ちの半分くらいを入金しました。しかし、すぐに「他の皆はちゃんとやっていないだろう。自分はカモになりたくない。協力するのはやめよう」と考えるようになり、最初はわりと協力的だったのが、すぐにゼロ近くにまで減ってしまいます。

ここで、これがミソなのですが、フェールとゲヒターは 7 ラウンド目で「新しいルールです。持ち金で、入金しないプレイヤーに罰則を与えることも可能です」と告げました。罰則のことを聞いた途端に協調性は高まり、そのまま上昇し続けました。

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様々な研究が示すとおり、協力の問題を解決する上で罰則は非常に役立ちます。良心に訴えるだけでは不十分で、何らかの罰則があると上手くいきます。恥でも、決まり悪さでも陰口でも、大きな集団内の人々の協力を得るには何らかの罰則が必要です。

集団を維持する秘訣とは?

最近の研究では、宗教において神をプライミング(先行する事柄が、後続する事柄に影響を与える)すること、人々に神について考えさせることがしばしば協調性を高め、社会的行動を促すことを示唆しています。

宗教は、集団の結束力を強めるための、文化的・生物学的進化による適応だと考える人がいます。人々を互いに信頼させ、また、他集団と競うのに効果的であるからというのが理由の一部です。

私もそう思いますが、これには賛否両論があります。私は宗教に、その起源や私たちに与える影響や効果に非常に興味を持っています。グランド・キャニオンが世界最大の神秘だとは思いません。

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グランド・キャニオンは単純です。たくさんの岩に水と風が作用して、長い時間をかければグランド・キャニオンはできます。複雑なことではありません。

それより、グランド・キャニオンやアフリカのサバンナやアラスカでも人々が協力して暮らし、このような集落がバビロンやローマ、テノチティトランのような大都市へと発展していったことの方がずっと複雑です。一体どうやって? まるで奇跡です。グランド・キャニオンよりよっぽど説明が困難です。

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その答えは、道具箱のあらゆる道具を使ったのだと思います。このような協力的な集団を生み出すには道徳心理学の 5 つの基盤をフル活用しなければなりません。

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もちろん危害を心配し、公正の概念が必要です。でも、内部構造を持つサブグループがあり、人々の現世欲を抑圧し、高次の崇高な目的を追求するよう説くイデオロギーがあれば、グループを組織するのに非常に役立つでしょう。

リベラルと保守の対立の核心

さて、これこそがリベラル対保守の対立の核心です。リベラルは 5 つの基盤のうちの 3 つを受け入れないからです。リベラルは「仲間集団ではなく、多様性を称えよう」、「権威を疑おう」、「自分の身体は自分の自由だ」と主張するからです。

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リベラルの主張には非常に立派な動機があります。伝統的な権威や道徳は、社会の最下層の人々、女性、はみだし者に対しとても抑圧的、制限的です。リベラルはこれらの人々を代弁しているのです。混乱の危険を冒しても変革や公正を求めます。

この男性の T シャツのメッセージは「グチるのは止めて、革命を起こそう」です。開放性が高い人にとって、革命は良いことであり、変化であり、おもしろいことです。

一方、保守は慣例や伝統の代弁者です。最下層の人々を犠牲にしても、秩序を求めます。保守の優れた洞察によれば、秩序とは維持しがたく貴重で、かつ失いやすいものなのです。「保守主義の父」エドマンド・バークは、フランス革命の混乱後、「人への制限も人の自由と同じように、人の権利としてみなされるべきである」と言っています。

リベラル、保守ともそれぞれに言い分があり、変化と安定のバランスを保っていることがわかったら、道徳マトリックスから外へ踏み出す道は開かれています。

善悪の戦いから抜け出すことが重要

これはアジアの宗教が到達した優れた洞察です。陰と陽を考えてみてください。陰と陽は敵同士で、互いに憎み合っているのではありません。夜と昼のように、世界の機能には陰と陽の両方が必要です。

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ヒンドゥー教においても同様の考えが見られます。ヒンドゥー教の多数の神の中に、世界維持の神ヴィシュヌと崩壊の神シヴァがいます。この画像では両神がひとつの体を共有しています。

左側がヴィシュヌの特徴を示しているので、保守の神、右側がシヴァの特徴を表しているので、リベラルの神ですが、この二神は協力し合っているのです。

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仏教でも同じです。道徳心理学の叡智が、禅師の僧璨の次の言葉に凝縮されていると思うのです。「真理を実現したければ、賛成や反対の見解を抱いてはならない。ひとつを嫌い、ひとつを好むことは心の病だ」。

残念ながら、この病が世界の多くのリーダーの心を蝕んでいるのです。ですが、ジョージ・ブッシュに優越感を覚える前に、石を投げつける前に、この教えを受け入れられるか、自らに問いかけてみましょう。

善悪の戦いから踏み出すことを受け入れますか? 賛成も反対もしないことが可能でしょうか?

「自分が正しい」という思い込みから抜け出すべき

要するにどういうことなのでしょうか。何をしたらいいのでしょうか。古代アジアの哲学や宗教の優れた洞察と、最新の道徳心理学の研究とをかけ合わせると、結論はこうなります。

人間の正義心は、集団を結成し、他の集団と敵対させ、真実に対して目をふさぐよう、進化によって規定されているのです。

ではどうしろと? 努力しても無駄だということでしょうか? 僧璨の教えを受け入れて、賛成も反対もしてはならないということでしょうか? 全く違います。そうではありません。ご来場の皆さんは素晴らしい方ばかりです。

才能、知性、エネルギーを、財力を惜しみなく使って、世界をより良くするために、悪と戦い、問題解決に挑んでいるのです。

私達が抱える問題の多くは、他人を変えなければ解決しません。他人を変えたいのであれば、まずは己を知り、道徳心理学を理解し、「自分が正しい」と思いたがる人間心理を理解した上で、一歩外へ踏み出すのです。ほんの一瞬でも外へ踏み出して、僧璨の教えを思い出してください。

道徳マトリックスの外へ踏み出して、いさかいが起こっているだけだ、と考えるようにしましょう。誰もが自分が正しいと思い、意見が異なるとしても、誰もがそれなりの理由を持って行動しているのです。

踏み出しましょう。道徳的な謙虚さを養い、誰しもが陥る独り善がりから抜け出すには、そうする必要があります。ダライ・ラマを考えてみてください。ダライ・ラマの絶大な道徳的権威は、彼の道徳的な謙虚さに由来しているのです。

私の話の核心は、また TED の核心でもあると思いますが、TED は世界をより良い場所にするために情熱を傾ける人々の集りです。皆さんは世界を変えるために熱心に取り組んでいるだけでなく、真理の追求にも熱心です。皆さんの真理を追求する情熱で全ての人のためにより良い未来を作り上げることに答えがあると思います。

ご静聴ありがとうございました

(会場拍手)