「一人暮らしの男」が危ない
誰にでも襲いかかるかもしれない老後破産の恐怖。第1部では、その実態をお伝えしたが、どんな人が貧困状態に陥りやすいのか。高齢者問題に詳しい淑徳大学総合福祉学部教授・結城康博氏と、生活困窮者への支援を行っているNPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典氏に聞いた。
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藤田 私が代表理事を務めているNPOでは、生活困窮者の相談を年間300件ほど受けていますが、そのうち半数が65歳以上の高齢者で、しかも一人暮らしの男性なんです。
もともと独身で天涯孤独の方だったり、離婚してしまった方だったりと事情はさまざまですが、誰にも相談できずに貧困状態のまま我慢して暮らしてきて、「いよいよ」という状態になってはじめて我々のところへ来られる。
結城 女性よりも男性のほうが、老後破産しやすいという傾向にありますね。
藤田 女性のほうがコミュニケーション能力が高いので、比較的早めに相談に来るんです。男性の場合、「たくましく、強くなければ」という意識の強い人が多い。
まずいのは誰にも相談できず、自分だけでなんとかしようとするケースです。最悪の場合、孤独死とか餓死という事態になってしまいます。
結城 収入について見てみると、まず国民年金だけでは生活するのは困難です。
国民年金は定年のない自営業者のための年金で、本来なら65歳以上になっても働き続けながら年金を受け取るとか、高齢者は子ども世代に扶養されつつ年金を受け取るという前提で制度設計がされています。
しかし実際にはそんな悠々自適な自営業者ばかりではないし、65歳以上になって新たに就労するのはまず無理でしょう。
では子どもや親族に頼れるかというと、さまざまな事情から家族と絶縁状態にある人もいるし、子ども自体が貧しくて親の面倒を見られないという場合もあります。
藤田 そうですね。高齢者が頼れる子ども世代は、いまや雇用者の約3割が非正規雇用ですから、ワーキングプア状態の人が多い。夫婦と職探し中の息子の3人暮らしで、収入は夫婦の年金10万円だけ、なんていう家庭もあるくらいです。
そのため子どもに世話になるどころか、定年後も子どもの学生時代の奨学金の返済に追われていたり、息子の自動車ローンを払っていたりして貧困状態になっている高齢者も多いんです。子ども世代の貧困問題を親世代が被ってしまっているんですね。自分自身は大丈夫だと思っていても、子どもが自立していない、というのも破産の原因になるんです。
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