小林舞子
2014年10月7日05時33分
ボーイッシュなショートカットに、明るい笑顔。はきはきとした口調。7月末。タレントの麻美(あさみ)ゆまさん(27)が、東京都内で開かれたイベントに登壇した。
卵巣腫瘍(しゅよう)の中で良性と悪性の中間に分類される「境界悪性腫瘍」を発症し、抗がん剤治療を終えて1年。治療前に背中まであった髪は、副作用ですべて抜けた。ようやく、ここまで伸びてきた。
イベントは、作家の大野更紗(おおのさらさ)さんとの対談だ。テーマは「女性と闘病」。難病の自己免疫疾患を発症した大野さんは「(病気と)診断されると、まず働けない。それがつらくて、つらくて」。
麻美さんも、当時を振り返った。「仕事がなくなって、経済的にも追い詰められました」
働けなかった期間は、無収入。「治すことも仕事」と周囲に励まされ、治療に臨んだ。今、闘病の経験を伝える仕事が舞い込む。これも、私にしかできない仕事。
「私も人の話を聞いてパワーをもらった。自分の病気の経験を話すことで、役に立ててもらえば」
◇
麻美さんが症状に気づいたのは、自身の芸能活動のピークといえるほど多忙な日々を送っていたころだった。
2005年、故郷の群馬県から上京した。東京で働いて、お金をためて留学したい。笑顔と元気がとりえの18歳は、夢を持って芸能事務所に所属した。そこでもちかけられたのは、アダルトビデオ(AV)への出演だった。
受け入れがたかった。だが、人生のチャンスかもしれない。いずれ留学ができるかもしれないし、仕送りで親を楽にさせてあげられるかもしれない――。覚悟を決めて臨むと、意外なことを知った。AVは、見ている人は「エロ」を想像するけれど、演じる側はそうでない。演技だし、仕事だからだ。
いかに「みせるか」に注力した。せりふ、表情、体のライン……。服を脱ぎ、頭から足の先まで、裸での勝負。「テレビドラマでは放送されない、ラブシーンの続きを私はやってる」
デビュー作品のDVDは売り上げランキング1位となり、レンタルも好評。瞬く間に人気女優にのし上がった。
08年からは、民放深夜のバラエティー番組にレギュラー出演。番組から誕生した歌やダンスを披露するアイドルグループ「恵比寿マスカッツ」の一員として、ライブツアーで各地を巡った。
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