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「私は自殺しない」中国の刑務所で嫌がらせも…ウイグル学者の決意

産経新聞 10月6日(月)13時0分配信

 言論活動のため中国で国家分裂罪に問われた中央民族大学のウイグル族教師、経済学者のイリハム氏は9月下旬、ウルムチの裁判所で無期懲役の判決を受けた。暴力事件が続く新疆問題が注目を集めているが、イリハム氏は中央政府とウイグル族の両方の立場を分かりやすく説明してくれる数少ない専門家の一人だった。ウイグル族と漢族の共存を訴え続け、暴力行為に反対する穏健な学者で、厳しすぎる仕打ちに落胆した外国人記者は多い。

 イリハム氏には取材などで何度も会った。強い信念と謙虚な姿勢、独学で日本語を勉強していることが印象的だった。共産党員でもあり、ほかのウイグル族活動家から「体制側の人」と批判されることもあった。

 支持者によると、裁判で無罪を主張し続けたという同氏に対し、当局は罪を認めさせようと、ウイグル族に不満を持つ6人の漢族の刑事犯と同じ房に入れ、イスラム教徒が口にできない豚肉の料理を出すなど、さまざまな嫌がらせをしたという。

 中国の刑務所では、政治犯を殺害しながら「自殺」と発表することもあるとされる。判決後、イリハム氏は弁護士を通じて「私は勇気を持って戦い続ける。もし将来、私が自殺したというニュースが流れたなら、それは嘘です」との声明を出した。(矢板明夫)

最終更新:10月6日(月)13時0分

産経新聞

 

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