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おんがく日めくり

01月 09日

映画監督、大林宣彦誕生(1938〜)

ピアノの名曲が、深い余韻を残す“尾道三部作”

 少年少女時代の切ない憧れや、はかない恋心を描く映画で、多くの人に支持されている映画監督・大林宣彦。中でも故郷の広島県尾道を舞台にした少女と少年の物語『転校生』(82年)、『時をかける少女』(83年)、『さびしんぼう』(85年)の3作は、“尾道三部作”として多くのファンに親しまれています。この三部作は大林監督が自身の青春を過ごした故郷への賛歌であり、登場する少年のヒロインを見つめる視線は、ボク自身のものである、と監督自ら語っています。

 実際、大林宣彦ほど、自身の個人的な想いや体験を映画の中に投影し、しかもそれがエンターテインメントとして成立・支持されている映画監督は、日本ではまれでしょう。そんな氏の“作家性”と“商業的成功”両立の秘訣は、その経歴の中にありそうです。

 子どもの頃、尾道の生家の納屋で古い映写機を見つけて以来、映画に夢中だったという彼は、早くから自主製作映画の世界で名前を知られ、25歳の時の16ミリの処女作『喰べた人』がベルギー国際実験映画祭で“審査員特別賞”を受賞。以後20代後半〜30代はテレビCMの製作で活躍、チャールズ・ブロンソンの「マンダム」や高峰三枝子・上原謙の「国鉄」など2000本を超えるヒットCMを生み出しています。わずか十数秒で見る人を釘付けにするコマーシャル映像の切れ味と、自主制作映画での撮りたいテーマと手法へのこだわり…。この両方を、自分の中で矛盾なく消化しているところが、大林監督のすごさ、といえるかも知れません。

 こんな大林監督の映画が、音楽の面でも印象的なのは、むしろ当然といえるでしょう。幼い頃からピアノに親しみ、初期の8ミリ映画などでは自分の演奏で音楽をつけていたという監督は、『廃市』(84年)や『彼女が結婚しない理由』(90年)では作曲の腕前も披露しています。また作品の中にも“心の「想い」を映すダイアローグとして”ピアノを弾くシーンがしばしば登場。『転校生』ではシューマンの「トロイメライ」、『さびしんぼう』ではショパンの「別れの曲」などが、その映像とともに深い余韻と共感を見る者に与えてくれたのです。


子供の情景 第7曲「トロイメライ」 作曲:R. Schumann  1999 YAMAHA CORPORATION

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